2002優秀賞
ARTIST STATEMENT
LOOP
私達が世界と関わるとき、そこには常に“まなざし”が関わっています。
たぶんそれは透明な空気のように、身の回りの至る所にあるのです。けれどもそんな身近なはずの“まなざし”を、私達は決して“まなざす”事が出来ません。
毎日、呼吸をするように何かを“まなざし”ている私達は、その“まなざし”に対して常に受け身でいることしか出来ないのでしょうか?
この不可視の“まなざし”を“まなざす”事、そのために私は“まなざし”を身体の地層の奥深い所へと潜っていかなければなりません。この作品はそのためのプロローグなのだと思います。
審査評 選:南條 史生
何点か鮮烈なイメージがあり、シリーズ全体を見せるプレゼンテーションもスマートで巧みです。ストーリー自体は強い説得力があるとは言えないが、視覚的構成がある種のストーリーを雄弁に語っている。写真の透明度、光、事物のイメージのバリエーションに特長がある。ヴォキャブラリーが豊かだ。しかし1点ずつの写真はある種の既視感もあり、その点今後より独自の表現を獲得しなければならないだろう。それは自分達の内側を探り、内側のリアリティーの核を表に出すことで可能になるだろう。知的でスマートで感性豊かな作品を追求していって欲しい。
PROFILE