2003優秀賞
ARTIST STATEMENT
ever green
僕は、ただ風に身をまかせ緑の筆跡を記録しただけだった。画面の中に様々なものが飛び込んでくるようだった。まるで、ある一定の時間だけカメラがブラックホールに成り変わったような気がした。僕は、その時間をコントロールすることしか出来なかった。人は、何かを見るときに見ることでそれを手に入れようとする。しかし、僕が見ようとしたものを写すのではなく、写りこんだものをそのままカメラが見たものとして、受けとめるのである。写真は、常に新鮮である。人間の眼とは異なる機械の眼が僕たちを新しい世界へと導いてくれる。目に見える世界ではなく、見えないことを大切にしていきたい。
審査評 選:マーティン・バー
木々や緑を主体とした静かな風景の中に存在す“クリーンな風の動き”が見事なまでに“かたち”として結実している。シンプルなアイデアを規律正しく、大変丁寧に表現している。大判プリントの技術も完璧な域に達し、文句なしの優秀賞。“良いアートワーク”のひとつの究極に、それに出会うことで完結した気分になれる作品というものがあるが、この作品はまさにそれだ。“ひとつの美のあり方”をシンプルに表現していながら、それらが細部にわたって徹底的にコントロールされている。この作品は“写真の表現の新しいテリトリー”に向かっている。
PROFILE
加藤 純平Junpei Kato
1980年 神奈川県生まれ。
2003年 東京綜合写真専門学校卒業。現在、フリーランスで活動。(2003年当時)