2004優秀賞
ARTIST STATEMENT
メインテーマ
5年ほど前、ある13歳の人に出会ってからというもの、私は、ティーンエイジャー、あるいは少なくとも大人以外の人々に強い関心を寄せています。なぜなら、彼らの無常な在り様、そしてそのエロティシズムが、名実ともに乾き切り、便々と続く反対贈与と予定調和に窒息しかけている私の、手前勝手な幻想を軽やかに一蹴してくれるからです。こう云って良ければ写真とは、どんな陳腐な物語にも回収されず、どんなイデオロギーからも自由で、そして艶めかしくも空っぽであり、ゆえに私にとってはティーン達の、いわく云い難い美しさを正確に記述する書記係として最もふさわしい存在なのだと思います。「目で殺す」という粋な表現がありますが、願わくば私も殺されたい。
彼らのあの青い、青い眼差しで。
審査評 選:飯沢 耕太郎
前回佳作に選ばれた「KAMINAN」も印象的なシリーズだったが、今年はもう一回り作品のスケールが大きくなり、「思春期」というふじいさんのテーマがくっきりと見えてきたように思う。ポートフォリオの構成としては、その分複雑になってしまって、なぜこの写真が入っているのかと迷ってしまうところもないわけではない。(特に、モノクロームのヌード)。ただそれも、異物を取り込むことで、作品に広がりを与えたいという意欲の表れと好意的に解釈することもできそうだ。きちんとコンセプトを立てて作品を組み立てることのできる、スケールの大きな「本格派」の写真作家としての成長を期待したい。
PROFILE
ふじい あゆみAyumi Fujii
1971年 | 東京都生まれ。 |
2000年 | キヤノン写真新世紀佳作入賞、「写真新世紀2000」展参加 |
2003年 | ニコンサロン三木淳賞奨励賞受賞 |
個展:2001年、青山ブックセンター六本木店、JUNA21展参加(2002年、新宿ニコンサロン)、2003年 キヤノン写真新世紀佳作入賞、「写真新世紀2003展」同展参加(2004年3月当時)