2007優秀賞
ARTIST STATEMENT
UNDERCOVER
ぼくが思春期の頃に描いていたファンタジー。
女の子は、まだ手も触れたことのない、淡くどこまでもピュアな存在。
だから生まれてしまう欲望や妄想を具現化すると、こんな感じになる。
童貞な頃のぼくにとって、女性はとても怖くもあり、エロティックであった。
制服の向こう側に広がる世界を知る由もなかった(情報は溢れんばかりあったけど)わけで、とにかく想像を繰り広げるしかないのであった。
それでも歳をとり、女性を知り、いつの間にか結婚した。
ふと気づけば、なにかと知りたくてたまらなかった“若気な自分”とは決別し、いろいろ知ってしまった“大人な自分”と対峙していた。
世の中には、知らないと困ることが沢山あるけれど、知らないほうが幸せなことも、それなりにある。
若気な頃の、まだ知りえぬものへの想像力の翼は、なんて鋭く逞しかったことだろう!
届かなかった、見ることのできなかった、秘められた存在。
思春期の、脆いけどぐつぐつと煮えたった、むっつりとした欲望。
くすぐられ、結局はくすぶってしまうという循環。
それこそが、淡くファンタジックな青春。
もうそんな時代には帰れないし、帰らなくてもいいのだけれど、“若気な自分”の欲望や妄想がマグマとなって、この作品を作り上げた気がしています。
などと大層なことを言いながらも、結局は“大人な自分”のフェティシズムの追求なのかもしれません。
この度は、選んでいただき本当にありがとうございました。
応募作品形態:タイプCプリント 額装 500mm×500mm 9点
審査評 選:南條 史生
今まで見たことのないものが出てきたな、という強い印象を残す作品でした。現実の世界ではあり得ないだろうというシチュエーションの写真ばかりですが、でもひょっとするとこういう場面を見たことがあるかもと思わせるところもある。不思議な感覚に陥ります。
たしかに女子高生という被写体は、使い古されているかもしれない。でも、その被写体の意味に頼ることなく、一つの材料として扱って、画面を構成しています。その上で、女子高生という存在が持つフェティッシュな雰囲気も利用するという、複雑なことをしています。
人間の体を、人格から切り離して、まずは徹底的に部品として使ったというところが、新しさを感じさせて、作品を成功させる要因になっていると思います。
PROFILE
青山 裕企Yuki Aoyama
1978年4月15日 新潟県生まれ。 | |
2005年 | 筑波大学人間学類(心理学専攻)卒業。 |
2005年 | 個展「空跳博-JUMP EXPO 2005-」PUNCTUM(東京)。 |
2006年 | 個展「ユカイハンズをよろしく。」PUNCTUM(東京)。 |
2007年 | 個展「ソラリーマン-JUMPING PAPAS-」。 新宿眼科画廊(東京)など展覧会多数。 |
受賞歴は、「第34回社団法人日本広告写真家協会公募展」。
「ワンダーシード2007」「トーキョーワンダーウォール公募2007」入選。
現在は、フリーランス・フォトグラファーとして活動中。
ウェブサイト http://yukiao.jp