2009優秀賞
ARTIST STATEMENT
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この一年は少しデジタル対アナログの話が少なくなったような気がします。
それは本当に意味があるかどうかわからないですけれど、たぶんデジタルの時代に入っているというのは普通に認められるようになったのかもしれません。しかし、デジタル写真に対しての一番大きな問題は、リタッチする時、何ができるかと考えたら、その可能性があまりにも凄くて、元の写真の良さが消える事もあります。
このシリーズは僕にとって、長いプロセスからの一つのアイデアです。元の写真を崩してしまいますけど、どうにかその元の良さを残したい。人の写真を撮るのが好きですが、やっぱり人物を撮っていると、その人が何かを与えてくれている訳ですから、それを大切にしたい。ぱっとみた感じはそう思わないかもしれません。そして撮られている人は一人も気に入ってくれないですけど、仕方がありません。
応募作品の形態:プリント/A3ノビ/19点/インクジェットプリント/プレミアムマット用紙
審査評 選:南條 史生
この作品は、人間の実存という問題を考えさせる。ジャコメッティやフランシス・ベーコンといった作家に通じるところがある。体が崩壊していくようなイメージの作り方は、人間の存在に対する疑問があるのではないか。顔を傷つけるのは暴力的だし、認識自体の崩壊がそこに起こっていると言える。一方で、ポートレートの目の部分は異常に強い。その目の強さが作品の強さにつながっている。単に誰かのポートレートを撮ったというより、普遍的な存在としての人間を描こうとした作品を感じる。
PROFILE
Adam Hosmer
2001年 | ニューイングランド音楽院 (New England Conservatory of Music)を卒業し、大阪で暮らし始める |
2007年 | スタジオでカメラアシスタントを始める ミオ写真奨励賞2007 審査員特別賞(選考:平木 収) |
2009年 | フリーのカメラマンとなる |
個展
2006年 | Elise Mankes Studio, ボストン,マサチューセッツ州, 米国 |
2006年 | 119 Gallery, ロウエル, マサチューセッツ州, 米国 |
2006年 | Yellow Trailer Art Gallery, チェルシー, NY, 米国 |
2007年 | ビーツギャラリー, 大阪 |