2015グランプリ
ARTIST STATEMENT
Made of Stone
例えば、道を歩いていて何かを発見し、思わず「あっ」とシャッターを切る。
このような被写体の動作や置かれている状況などを瞬間的に切り取るスナップショットの
手法を、始まりと終わりという時間のある映像へと応用する。
写真の決定的瞬間「あっ」は映像の「あーーー」という時間へと引き伸ばされ、
被写体は無防備な本来の姿を露呈する。
応募作品形態:映像作品/17分29秒
審査評 選:さわ ひらき
17分強と少々長い動画の作品ですが何度も見返してしまいました。三脚無しでスナップショットのように撮影されていますが、コンポジションが良い。街の中に溶け込む方法で撮影されているのか、被写体が撮影者を意識することなく3分、5分と撮影され続けられていて、作者の意図する写真特有の一瞬の間が伸びて別の次元を作り出しています。間の伸びた写真に音が加わり、被写されている人や場所がさらに生々しくなります。写真の延長にある動画作品で力わざ感を感じられ、そこがまたおもしろく楽しめました。
PROFILE
迫 鉄平Teppei Sako
1988年大阪府生まれ。神奈川県在住。2014年京都精華大学大学院芸術研究科前期博士課程修了。瞬間を切り撮るスナップ写真の方法を動画へと転用することで、その瞬間性を引き延ばす動画作品や、複数の瞬間を一枚の写真に畳み込むスナップ写真のシリーズにおいて、制度化された「決定的瞬間」から被写体と鑑賞者を解放することを試みている。主な展示に、個展『POOR, VIDEO, ANYTIME GOD.』(2021年/SproutCuration/東京)、『New Photographic Objects』(2020年/埼玉県立近代美術館/埼玉)、『All Along The Watchtower』(2019年/YEBISU ART LABO/愛知)がある。2015年第38回公募キヤノン写真新世紀グランプリ受賞。