2016グランプリ
ARTIST STATEMENT
物語
「私の身体に先祖の体験してきた記憶が残っているのではないかと感じることがあります。様々な民族の伝承(歌、舞、語りなど)を体験したときに、デジャブのような感覚を覚えることが多いためです。そういった記憶とも思える不思議な感覚と、今まで生きてきた私の確かと思える記憶が重なった時に、ひとつの物語が現れてきます。私はこの物語に向き合う事で、自分にとっての『故郷』とは何なのかを考え続けています。」
応募作品形態:1000×800 6点(デジタル出力/アルミマウント/額)
審査評 選:オサム・ジェームス・中川
日本と韓国。自分のホームはどこにあるのかという疑問を抱き、ふたつの文化で揺れ動いているのが見てわかります。写真は接着剤となり、文化を繋ぎ合わせます。自分のイマジネーションからふたつの文化を一体化させる、それはコンストラクトしたひとつの彫刻のようにも感じられ、日本語でもなく、韓国語でもない、自分の言葉を提示しています。
彼女が選ぶ、人物、衣裳、小物のコンビネーションは 輪廻を感じさせますが、何か問題がはらんでいるようにも見え、これはなんなんだと思わせるのが面白い。日本と韓国の解決していない、潜んでいる、タブーで言えない問題も匂わせています。
PROFILE
金 サジKim Sajik
「自身のコリアンディアスポラの身体的、精神的アイデンティティの「揺らぎ」をきっかけとして活動をはじめる。自身の創作物語を演出写真の技法を用いて作品を制作。写真家として活動しながら、活動の一環として、韓国舞踊家、金一志の下に師事。韓国伝統芸能を学びながら、ディアスポラに代々継承されていく歴史・民族精神のトラウマから生まれる新たな可能性を探っている。現在、ロシアのサハリンのリサーチを日本サハリン協会等の協力を得ながら継続中。2020年度より多様なメンバーと映像作品「AMA~ウィルスとおよぐ~( https://vimeo.com/529318251)」を完成に向けて奮闘制作中。株式会社赤々舎と写真集を年内に出版予定。ホームページ http://kimsajik.com」
(写真左から2番目)花 花道みささぎ流家元 片桐功敦