2018優秀賞
ARTIST STATEMENT
Street View
3.11以降、当事者性という言葉が澱となり心に沈む。澱は日毎に増え、沈黙となる。無色透明な言葉が持て囃され、居心地の悪さは忘れ去られる。
路上から、福島第一原発周辺を夜に撮影した。誰もが立ち入ることができる路上は公共の場で、誰もが当事者でいられる場と考えた。光景にあかりが灯る様を写すために、夜を選んだ。長時間露光は、写真を幻想的に仕立て上げた。
私は無色透明な視点を装い、居心地の悪さを写そうとした。
応募作品形態:プリントA2 / インクジェットプリント / 35点
審査評 選:杉浦 邦恵
この作品は、長時間露光で撮られた今の福島が写し出されています。静かなロマンティックな夜景だと思って見ていたのですが、途中から少し気味が悪くなってきたんです。 すると、帰宅が解禁された地域の夜景だとわかりました。まだ10%程しか人が戻っていないらしく、夜がとても暗いんです。福島はアートの主題には難しいと思っていましたが、この作品は違った意味で興味を持って見ることができます。昔の、ノアール映画、探偵映画を想像しながら、惹かれました。大人な作品で、洗練されていて、subjectをさらっと描いていると思いました。
PROFILE
佐々木 香輔Kyosuke Sasaki
宮城県仙台市出身
日本大学芸術学部写真学科 卒業