2019優秀賞
ARTIST STATEMENT
空を見ているものたち
はじまりは、単なる好奇心でした。
天気がおかしくなり、大雨が降った時、大風が吹いた時、いつもより高い気温になった時、観測された場所とその数字が知らされます。
どんなところで、どんな機械で測っているのか。それを見てみたいと思いました。
気が付くと、機械の姿を追い求め、あちこち足を運んでいました。
山奥の村、最北の岬、週に二度だけ船が出る島々……目の前に次々現れたのは、多様な風景です。
探し歩いて写真に収めたものは、機械だけのはずでした。しかし、ずっと感じていたのは、この島国のあらゆる場所で営まれている、人々の暮らしの香りでした。
そして今も、人々の暮らしのすぐ側で、静かに空を見つめるものたちが居ます。
応募作品形態:ブック/A5縦/1,034点/10冊
審査評 選:ユーリン・リー
日本の北から南を旅して、気象観測機「アメダスの観測機器」を撮影したこの作品は、世界中の人々の関心事でもある「地球の環境問題」を想起させます。この測器は、地球の「プロテクター」、地球を守っているものともいえます。観測データを収集して気象を予測し、私たちに注意や警報を出してくれるからです。その存在はあまり知られることなく、ひっそりと行われています。
田島さんはサラリーマンとのことですが、ある意味「この測器」のような存在だと思います。社会を支える重要な存在だからです。社会をひっそりと支える田島さんが、私たちを守る「アメダスの観測機器」を記録した作品群。そのような意味からこの作品を選びました。
PROFILE
田島 顯Ken Tazima
1974年 | 愛知県名古屋市生まれ 以降、広島→浦和→仙台→秋田→東京→松江→鳥取→横須賀と転居を重ね、現在に至る |
1997年 | 東北大学工学部卒業 |