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江口 那津子

「 Dialogue 」

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2019優秀賞

ARTIST STATEMENT

Dialogue

母がアルツハイマー型認知症と診断されてから 10年が経過しました
現在 私の事を娘だと認識できていません
言葉も理解できない 対話する事ができません
それは、娘としてとても悲しく
受け入れることができませんでした
幼少期 母と電車に乗って 祖父母の家によく行きました
その町を40年ぶりに歩いてみました
町は全てが変わっていたわけではありませんでした
そこには その当時の建物がまだ残っていました
そして 幼少期のかすかな記憶が蘇ってきました
母のように いつか大切な記憶を失ってしまうのかもしれない
記憶を物理的に残すことができたらと考えました
そこで その町を写真に撮る という行為に至りました
幼少期に母と一緒に歩いた道を撮りながら
母と対話していることに気がつきました

応募作品形態:ブック(218×195mm)/和紙、インクジェット/212ページ

審査評 選: ポール・グラハム

高齢の母親に対する切なくも思いやりに満ちた作品です。昔のスナップショット、肖像写真、絵の断片、消えゆく記憶のごとく色褪せた画像を取り混ぜた構成。これらすべてを、モノクロからカラー、縮尺の変化、黄みがかったクリーム色の紙の後に続く薄皮のような半透明の紙材など、様々なプリントテクニックを巧みに用いて表現した結果、非常に完成度の高い、心動かされる写真集になりました。
写真はよく、カメラ技術、ハイテクのデジタルまたはフィルム・サイエンス、光学的手法などに依存する無機質な媒体であるように思われますが、そこにこのような作品が現れ、アーティストはこのテクノロジーを使って人生の飛行機雲の軌跡を描けるということを示してくれます。感性豊かな手と目が生み出すビジュアル・ポエトリーです。

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PROFILE

江口 那津子Natsuko Eguchi

兵庫県生まれ 1991年から看護師として従事する
2017年ビジュアルアーツ大阪 写真学科 作家専攻 卒業
自主ギャラリーで作家活動開始
2017年 東川町国際写真フェスティバル 赤レンガ・公開ポートフォリオオーデション優秀賞受賞

個展

2018年「THE TIME GOES AROUND~SUMMER~」(大阪・VACUUM GALLERY、9月)
「THE TIME GOES AROUND~AUTUMN~」(大阪・VACUUM GALLERY、11月)
2019年「THE TIME GOES AROUND~WINTER~」(大阪・VACUUM GALLERY、2月)
「THE TIME GOES AROUND~SPRING~」(大阪・VACUUM GALLERY、4月)
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2019優秀賞

江口 那津子

Dialogue

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