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宮本 博史

「 にちじょうとひょうげん—A2サイズで撮り溜めた、大阪府高槻市・寺田家の品々— 」

2020優秀賞

ARTIST STATEMENT

にちじょうとひょうげん—A2サイズで撮り溜めた、大阪府高槻市・寺田家の品々—

大阪府高槻市在住の寺田さんご一家の次女で美術作家の就子さんから、ご家族のおもしろ話を聞かせてもらう機会があり、寺田家に惹かれていったのが事のはじまり。
例えば、父・紀夫さんのこと。過去3年、夏が来るたびに家の玄関先や庭で蚊を叩き続けているのだが、蚊の数を日々カウントし、折れ線グラフにまとめている。メモ用紙には「正」の字がびっしりと書かれてあり、合計で4,033匹に。祖父・信一さんは、なんとも形容しがたい小さなオブジェ・置物をつくっておられた。
いくつか完成すると家族へ配るのだが、次女・就子さん以外はあまり受け取らなかったのだそう。そうした家族の制作物に始まって、ご自宅で保管されている様々なものを撮らせてもらいました。

応募作品形態:映像作品 6分37秒

審査評 選: 椹木 野衣

作者はひょんなことから知り合った寺田家に惹かれ、その家族が残したり、作ったりしたメモ、ノート、オブジェなどを、一年かけて撮り溜め制作しています。これらは、どの家庭にもあるようなものであり、世の中に接続されることがないもの。本当の不思議な世界観やイメージは、実は家庭の中に眠っているようです。このアニメーションの中には、家の構成員だけでは出て来ることがないような、家族の集合体としての記憶やエネルギーなどが非常に強く表れていて、万華鏡のように迫力があり、こちらの記憶に訴えかけてきます。家の中の奥の奥にしまわれていた別の形での冒険を、写真を通じて行なっているように感じて、非常に感銘を受けました。

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PROFILE

宮本 博史Hiroshi Miyamoto

1978年大阪府生まれ
身近な人の存立に関することがらをテーマに、写真作品などを制作。
存在し成り立っていくこと、人が暮らしている過程に注目して活動している。
どこからどこまでが私事の範囲なのかに着目して制作を行う。
写真家の天野憲一や横山大介らと共に、「Auto-community Archivists」のメンバーとしても活動。

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2020優秀賞

宮本 博史

にちじょうとひょうげん—A2サイズで撮り溜めた、大阪府高槻市・寺田家の品々—

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