2021グランプリ
ARTIST STATEMENT
THE LAKE
標高1000mを超える山々に囲まれた湖。
冬の3ヵ月間、湖を眺める部屋に滞在し、湖が凍ってから解けるまでを記録した。
風が吹くと海のように波を立て、雨が降ると霧が舞い込んでくる。
そして冬の最も寒い頃、徐々に湖は氷結していく。
湖が凍る夜、その場所には特別な音が鳴り渡る。
やがて湖が解けたとき、
「それはそこにかつてあった、が、確かにそこにまだある」という感覚を覚える。
私はただ自然の生活(変化)を見つめ続けることに身を任せることにした。
本作は、日記のようであり、写真のアルバムのようでもある。
幾度も湖の周りを歩き、時に石を投げ、舟を漕ぐ。
それは、3ヵ月に渡る湖と私との言葉なき対話でもある。
ただそこに境目などはなく、すべては見る人にひらかれてる。
応募作品形態:シングルチャンネル・ビデオ25分52秒
審査評 選:椹木 野衣
コロナ・パンデミックのもと、私たちはかつてないほど移動や集まることの自由を制限された。写真にとって重要なはずの四季の移ろいや未知なる他者との出会いが乏しくなる一方、感染状況を示す第〜波という新しい時間の区切りと、内なる見知らぬ自己との直面が浮かび上がる。個人的にも、気づけば「内陸的」「淡水的(川、湖)」「内向的」「ドメスティック」な写真を選んでいた。そのなかでも従来とは異なる時間軸、見て来なかった移ろい、身近な遠くで起きている生成変化がもっとも大胆に、かつ稠密に浮かび上がる。
PROFILE
賀来 庭辰Naotatsu Kaku
1990年 | 東京都生まれ |
2016年 | 映画美学校フィクションコース 修了 |
2017年 | 第40回 キヤノン写真新世紀 佳作入選 |
2018年 | Kyotographie KG+ Award 2018 Finalist選出 |
2019年 | 群馬青年ビエンナーレ 2019 入選 |
主な展示
2019年 | 「プラハの隣人」黄金町AIR 成果展 |
2020年 | 「生きものの中に生きものが」マキイマサルファインアーツ |
2021年 | 「南から」流浪堂 ギャラリートーチカ |