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中野 泰輔

「 やさしい沼 」

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ARTIST STATEMENT

やさしい沼

この間、車にはねられた。血が大量に出て、身体中が熱くなった。事故に遭うまで、部屋の中に閉じ込められて、身体を無視して暮らしていたことに気付いた。自分の血に浸りながら、体は痛みや熱を伴って、そこにあるのだということを思い出して、今までにない強烈な喜びを感じた。そうして、私は自分の身体を眺めるように、他者の体を眺めはじめた。話さなくなった言語を思い出すように。今までは、強靭な身体で、私と他者が区別されていたように見えていたのに、小さな抜け道を見つけた。

応募作品形態:ブック(A4変形、100ページ、使用写真数75点)

審査評 選: ライアン・マッギンレー

力強い描写とテクスチャーがとても素晴らしいと思いました。その大胆なまでに幻想的な表現にはグッと引き込まれてしまいます。おぼろげで官能的なポートレートには体験がありのままに、野性味のある姿で描かれています。そこに無駄な装飾は一切ありません。身体に注がれる色鮮やかな光の束と霞がかったような描写からは、神秘的な美しさと可能性が感じられます。

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PROFILE

中野 泰輔Taisuke Nakano

1994年生まれ 東京在住
2017年 武蔵野美術大学映像学科卒業
2018年 第18回 1_WALL 写真部門グランプリ
2021年 第44回 写真新世紀優秀賞受賞
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2021優秀賞

中野 泰輔

やさしい沼

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