生きた教材として、
目の前に広がる屏風絵から感じる、学ぶ。
その1
「ガラスケースに入れて原本と並べたら違いがわからない」と言われる程、本物そっくりにできている綴プロジェクトの高精細複製品。原本とほぼ変わりない鑑賞体験が得られることから、全国の小中学校の出張授業や美術館・博物館でのワークショップなどで、生きた教材として活躍しています。子どもたちに伝えたいこと、学んでほしいこと、私たちの想いとともに現場の様子をご紹介。
アートに正解はない、心の声をきく鑑賞授業
「この絵には何が描かれているように見えますか?」「季節はいつだと思いますか?」「朝かな?夜かな?」先生からの質問に、元気よく思い思いの答えを返していく子どもたち。目の前に広がるのは、近世日本水墨画の傑作と謳われる国宝「松林図屏風」の高精細複製屛風です。学校に持ち込まれた原寸大の屏風絵を前にした鑑賞授業は、先生の問いかけに応じて、作品をじっくり観察することから始まります。「作品のどこの部分を見てどのように感じたんだろう?」「寂しい感じがする」「温かな靄のように見える」子どもたちは、それぞれに自分の心の声をききながら、作品を鑑賞していきます。同じ絵を見ても、感じ方は人それぞれ。まさに、アートに正解はない!心が動いたらそれはアート。アート鑑賞の面白さの一端を体験し、豊かな人生を歩んでいってほしいという願いをこめて。
教科書から飛び出し、リアルに伝える歴史や文化
「ここに弁慶って書いてある!」「うわ、刀に血がついてる!」「海の中で馬にのって矢を放つって、ほんとに的にあたったのかな?」とある学校の教室から聞こえてくる子どもたちの声。歴史の授業の一コマですが、生徒たちの目の前に広がるのは甲冑を纏い刀を手に戦う武士たちの姿を描いた「平家物語 一の谷・屋島合戦図屏風」の高精細複製屏風。原本は大英博物館が所蔵し、子どもたちの教育的活用のためにも綴プロジェクトで複製することを許され制作した作品です。
教科書の世界を飛び出し、緻密に描かれた合戦の様子に子どもたちは興味津々。「鵯越の逆落とし(ひよどりごえのさかおとし)」、那須与一(なすのよいち)の「扇の的」などの名場面も描かれていて、よりリアルに当時の様子を知ることができます。近くによって細部まで見ていくことで、それぞれの気づきや発見を共有し、学んでいく。そんな体験型学習においても、綴プロジェクト作品は生きた教材として活用されています。
綴プロジェクトの高精細複製品を使用したワークショップは不定期に開催しています。開催の際には、ホームページやSNSなどでお知らせいたします。
また、全国の教育機関などで出張授業を実施する「ぶんかつアウトリーチプログラム」については、こちらをご覧ください。