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寄贈情報

2025年3月19日

「四季花木草花下絵山水図押絵貼屏風」を
九州国立博物館(国立文化財機構)へ寄贈

2025年2月4日、綴プロジェクト第16期で制作した狩野元信 筆「四季花木草花下絵山水図押絵貼屏風」(原本:米国・スミソニアン国立アジア美術館蔵)の高精細複製品を、独立行政法人国立文化財機構・九州国立博物館へ寄贈しました。

「四季花木草花下絵山水図押絵貼屏風」高精細複製品
「四季花木草花下絵山水図押絵貼屏風」高精細複製品

「四季花木草花下絵山水図押絵貼屏風」は、室町時代後期に流行した華美な屏風に掛け軸を掛ける風習を再現したとされ、絹本には中国風の水墨山水、金地には鮮やかな和風の花が描かれています。作者の狩野元信は、狩野派初代・正信の子として、狩野派の礎となる漢画(中国風の水墨画)に土佐派が得意とした大和絵の画法を取り入れるという、いわゆる「和漢融合」という様式を確立し、狩野派400年の繁栄を決定づけた絵師です。

秋から冬への移ろいが描かれた左隻
秋から冬への移ろいが描かれた左隻
(部分5-6扇)
春から夏への移ろいが描かれた右隻
春から夏への移ろいが描かれた右隻
(部分4-5扇)

原本を所蔵する米国・スミソニアン国立アジア美術館の所蔵作品は、設立者の遺言により門外不出とされているため、現地を訪問しない限り、鑑賞することができません。このたび、高精細複製品を制作することで、日本絵画の名品とされる本作品の日本への里帰りが実現。和漢融合の本作品は、「日本文化の形成をアジア史的観点から捉える」というコンセプトを掲げ、2025年に開館20周年を迎える九州国立博物館へ寄贈されました。

九州国立博物館での受贈式の様子
九州国立博物館での受贈式の様子

制作にあたっては、キヤノンのフルサイズミラーレスカメラ「EOS R5」でオリジナルの文化財を撮影し、独自開発のカラーマッチングシステムを用いた画像処理を行ったうえで、12色の顔料インクを搭載した大判インクジェットプリンターで出力しています。さらに、京都の伝統工芸士が金箔などを用いた装飾を施し、屏風に仕立てることで、オリジナルの文化財を限りなく忠実に再現しています。

文化財の負担を極力減らして高精細画像データを取得
文化財の負担を極力減らして高精細画像データを取得

寄贈作品は、2月4日から3月16日まで、九州国立博物館の文化交流展示室(平常展)で公開されました。この展示では、狩野派の巨匠・狩野永徳が描いた屏風絵などに加えて、蒔絵硯箱をはじめとする美しい漆工品も紹介され、中国の文化を受容して成立・展開した日本美術の優品を鑑賞することができます。また、寄贈作品は、写真撮影に加え、ガラスケースに遮られることなく間近で鑑賞できるなど、高精細複製品ならではの鑑賞方法でお楽しみいただきました。

太宰府天満宮の近くにある九州国立博物館(画像提供:九州国立博物館)
太宰府天満宮の近くにある九州国立博物館(画像提供:九州国立博物館)

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