鳥のヒミツをときあかせ vol.7

鳥はどんなものを食べてるの?

ご飯のヒミツ

鳥の中にはスズメのように草の実や穀物(こくもつ)を食べる鳥もいれば、
ツバメのように飛(と)んでいる虫をつかまえて食べている鳥もいます。
ペンギンたちは海にもぐって、小魚やオキアミをつかまえて食べています。
タカやワシは、鳥やケモノを狩(か)って生きています。
食べるものがちがうと、くちばしの形だけでなく、
つめやつばさ、あしの形もちがってきます。
どんな鳥が、どんなものを食べているのか、見てみよう!

チャレンジ1

種子(しゅし)(タネ)を食べる鳥を見てみよう!

昔、スズメはお米を食べるイネの害鳥(がいちょう)とされ、竹やぶのねぐらなどで大規模(だいきぼ)に駆除(くじょ)され、焼き鳥になったりもしていました。スズメはイネ科の種子(しゅし)(タネ)が大好きです。アフリカやオーストラリアにはイネ科の草の種子を食べる「フィンチ」と呼ばれる小鳥がたくさんいます。ヒエやアワなどの雑穀(ざっこく)を与えていれば飼(か)えるので、昔は日本にたくさん輸入されて、小鳥屋さんで売られていました。文鳥(ブンチョウ)や紅雀(ベニスズメ)、十姉妹(ジュウシマツ)など、飼い鳥として親しまれてきた鳥たちは、いずれも草の種子(しゅし)を食べる鳥です。

ホオジロやカワラヒワ、ベニマシコなども種子(しゅし)を主に食べます。冬になると北の方から群れで日本にやってくるマヒワは、ニレやヤシャブシなどの小さな乾燥(かんそう)した木の実を食べています。イカルやシメは大きな太いくちばしをもっているので、かなりかたい木の実でも、パチンと割って中の種子(しゅし)を食べることができます。ヤマガラはエゴノキのかたい実を足で押さえて、カンカンとつついて割って、種子(しゅし)の中身を食べます。

くちばしが太い鳥は種子を割ることができる
太いくちばしでタネをくわえるスズメ

チャレンジ2

虫や小動物(しょうどうぶつ)を食べる鳥は?

多くの鳥たちが食べているのは、昆虫やクモなどです。ツバメは飛びながら、アブやハチ、トンボなどをつかまえて食べます。普段は種子食(しゅししょく)のスズメやホオジロも、巣を作ってヒナを育てるときは、クモやイモムシを運んできます。冬には蜜(みつ)を吸っているヒヨドリやメジロも、子育てのときは昆虫やクモを運んできます。
メジロやウグイス、それからムシクイ類はピンセットのような、とがった細いクチバシを持っています。このクチバシはアブラムシやキジラミのような、小さな昆虫を捕まえるのに適したクチバシです。

夏になると日本にやってくるオオルリやキビタキ、サンコウチョウは、もっぱら昆虫食(こんちゅうしょく)です。彼らが冬になると南の地方へ渡(わた)っていってしまうのは、冬の日本では虫が少なくなるからです。ブッポウソウやアオバズクなどの大きな鳥は、セミや蛾(が)、コガネムシ、クワガタ、カブトムシなど、大きな虫をつかまえます。全国でブッポウソウやアオバズクが減っているのは、こうした大型昆虫が少なくなったからだと考えられています。

ツバメ類、アマツバメ類の狩りの方法
ピンセット型くちばしで虫をくわえたハクセキレイ

チャレンジ3

魚を食べる鳥は?

魚を食べる鳥はたくさんいます。サギ類やカモメ類、ウ類、アジサシ類、カツオドリ類、ミズナギドリ類、カイツブリ類、カモの仲間のアイサ類などです。猛禽類(もうきんるい)にもミサゴという魚専門のタカがいます。水辺(みずべ)に住むツルやクイナ類は、水辺で昆虫や植物の種子(しゅし)などを食べていますが、ときには魚をつかまえることもあります。カワガラスも水生昆虫(すいせいこんちゅう)(水の中や水辺でくらす昆虫)を主に食べますが、ときには小さな魚をとらえることもあります。カワセミやヤマセミも魚ですね。

動きの早い魚をつかまえるためには、つかまえるほうも、すばやい動きが必要です。サギ類は浅い水の中に立って魚をねらうので、長い足と長い首、そして長くてまっすぐなくちばしをもっています。ウやカツオドリやミズナギドリは、水中ですばやく泳ぐために、水かきのある足(カイツブリ類は水かきではなく弁足(べんそく)という幅広い足指)を進化させています。

カワセミ
魚を食べるカワセミ

チャレンジ4

草や葉っぱを食べる鳥はいるかな?

草を食べる鳥はいるのでしょうか?実はガン類は草を食べます。マガンやヒシクイはクチバシの横がギザギザになっていて、それで草をむしり取って食べるのです。コクガンも海辺(うみべ)にくらし、あさいところに生える海草(かいそう)のアマモを食べています。

高山(こうざん)にくらすことで有名なライチョウたちは、冬の間、ハイマツの葉を食べています。あんなにかたい葉っぱをライチョウは消化できるのでしょうか。実はライチョウは盲腸(もうちょう)が大きくて、そこにいる細菌が固い部分を分解し、ハイマツの葉を消化しているのです。

南米に住むツメバケイは、とりわけ木の葉を好(この)むめずらしい鳥です。かれらは水辺(みずべ)の樹林(じゅりん)に住んでいて、サトイモ科の樹木(じゅもく)やヒルギダマシ類などのぶあつい葉を食べています。本種は鳥類の中では唯一、山羊(やぎ)や牛のように嗉嚢(そのう)(食べ物を一時的にためておく袋)に食べた葉っぱを戻して、そこで細菌にかたい部分を分解させて消化するという特技をもっています。

葉をむしり取って食べるマガン

チャレンジ5

シギやチドリのメニューはなんだろう?

干潟(ひがた)に群れるシギやチドリ、彼らは何を食べているのでしょう?
大型のダイシャクシギやホウロクシギ、チュウシャクシギなどは、時々、カニをつかまえて振り回して足をとってから飲み込んでいます。中型のキアシシギやタカブシギ、ダイゼンなどは泥(どろ)の中からゴカイを引っ張り出して食べています。小型のトウネンやハマシギは何か小さなものをついばんでいます。汽水域(きすいいき)(海の水と川の水がまざる場所)で発生するハエ類の幼虫やサナギでしょうか。干潟(ひがた)の泥の表面はバイオフィルムといって、藻類(そうるい)や細菌類(さいきんるい)の層でおおわれています。小型のシギたちには、この層をこまめについばむエサの取り方もあります。

カニを食べるキアシシギ
ヤマトオサガニをくわえるチュウシャクシギ

チャレンジ6

果実を食べる鳥を見てみよう!

野山を歩くと、小さな赤い実や黒い実をつけている木がたくさんあります。ちょっと立ち止まってみていると、小鳥がきて実をついばんでいったりします。町の公園や小さなお庭でも実のなる木があれば鳥はやってきます。ナンテンやピラカンサ、クロガネモチ、赤い実やオレンジ色の実はよく目立ち、ヒヨドリやツグミ、ジョウビタキたちがやってきます。トウネズミモチやクスノキの黒い実も鳥たちは大好きで、クスノキの梢(こずえ)を見上げてみるとヒヨドリやムクドリがたくさん集まってさわいでいます。

目立たない実をつける木もあります。センダンの実は少し大きいのですが、褐色(かっしょく)(ちゃいろっぽい色)であまり目立ちません。けれど、ヒヨドリやツグミ、ムクドリなどの中型の鳥たちには好(この)まれています。ハゼやウルシの実も灰褐色(はいかっしょく)(はいいろっぽいちゃいろ)で目立ちませんが、脂肪分(しぼうぶん)を多くふくんでいるのでカラスに好(この)まれています。カラスザンショウの木があると、メジロが毎日群れでやってきて実をついばんでいきます。

木の実を食べるツグミ

チャレンジ7

花の蜜(みつ)を吸う鳥もいるよ!

みなさんのおうちの庭や通学路に、もしサザンカやツバキが植えてあったら、学校の行き帰りに観察(かんさつ)してみてください。メジロやヒヨドリが蜜(みつ)を吸いにきていませんか?メジロやヒヨドリは、夏の間は主に虫を食べてくらしていますが、冬になってサザンカやツバキの花が咲くと、蜜を吸いにやってきます。

花の蜜を吸う鳥というと、ハチドリなどを想像(そうぞう)すると思います。けれど、ハチドリは中南米(ちゅうなんべい)の熱帯(ねったい)にしかいません(一部は夏に北米へやってきます)。ハチドリのような、1年中、花の蜜ばかり吸って暮らしている鳥が生きていくには、常にどこかに花が咲いていないとだめなのです。

花が1年中咲いている熱帯(ねったい)では、花の蜜を吸う鳥たちがたくさん進化してきました。東南(とうなん)アジアからアフリカの熱帯にかけてはタイヨウチョウ類(サンバードと呼ばれています)、オーストラリアではミツスイ類、そして中南米ではハチドリ類が有名です。インコの仲間にも蜜を吸うグループがいて、たとえばオーストラリアのゴシキセイガイインコは、もっぱら蜜を吸うインコです。

日本は温帯(おんたい)に位置しているので、1年中、たくさんの花があるわけではありません。日本は花の蜜だけを吸って生きる鳥には、少し住みにくい環境なのです。けれどヒヨドリとメジロは、虫が少ない冬になると、さかんにサザンカやツバキの蜜を吸いにきます。この2種の鳥は、もともとは昆虫が主食の鳥ですが、夏は虫、冬は花の蜜(と果実)というように、季節によって、主食を変えることができるのです。

もしサザンカやツバキが春から夏にかけて咲いたらどうでしょう。この季節はメジロにとっても、ヒヨドリにとっても子育ての季節です。子育てにはとてもたくさんの昆虫が必要です。メジロもヒヨドリも、虫探しに必死(ひっし)で、せっかくサザンカやツバキが花を咲かせても、蜜を吸いにきてくれないでしょう。昆虫がいない季節に花を咲かせて、鳥を呼ぶ。これがサザンカやツバキが冬に咲く理由(りゆう)です。とくにツバキの花は大きくて、花びらも厚く、メジロが頭を突っ込んで吸いやすいようになっています。

ところで、熱帯(ねったい)には赤い花がいっぱい咲いているというイメージはありませんか?ハイビスカスやブーゲンビリア、沖縄に行くとデイゴの花も真っ赤です。熱帯に赤い花が多い理由、それは、蜜を吸う鳥たちに「ここにおいしい食べ物があるよ」という信号を送り、花粉を運んでもらうためなのです。

花の蜜を求めるメジロ
ツバキの花の蜜をなめるメジロ

チャレンジ8

くさった肉や骨を食べる鳥もいる!

よくハゲタカと言われますが、正式名称はハゲワシです。南アジアからアフリカにかけてくらしているワシやタカの仲間です。けれど普通のワシやタカと違うのは、ハゲワシの仲間は生きた動物を狩(か)るのではなく、死んだ動物の肉を食べることです。アフリカのサバンナでライオンが食べ残した草食獣(そうしょくじゅう)(しょくぶつを食べる動物)の死体や、インドなどでは死んで捨てられた家畜(かちく)の死体などに集まります。

同じような生活をしている鳥に南米のコンドル類がいます。コンドルはワシタカの仲間ではなく、むしろコウノトリにちかい仲間のグループですが、ハゲワシ類と同じように死肉をあさって生活しています。彼らは嗅覚(きゅうかく)(においが分かる力)がするどく、高い空を舞いながら、上昇気流(じょうしょうきりゅう)に乗ってくる動物の死体のにおいを感じるのです。

ハゲワシの仲間に、ヒゲワシという変な鳥がいます。顔に頰(ほお)ひげのような黒い筋(すじ)があるのでヒゲワシと呼ばれていますが、ヒゲワシは肉ではなく、骨を食べるのです。ほかのハゲワシ類がきれいに食べ尽くした動物の骨をつかんで、空に舞い上がって、岩をめがけて落とし、砕けた骨の髄(ずい)を好(この)んで食べます。彼らの胃の消化力は強く、骨そのものも消化してしまいます。

チャレンジ9

なんでも食べる都会のカラス
カラスの食事を見てみよう

カラス類はなんでも食べることのできる鳥です。ハシブトガラスもハシボソガラスも、果実も肉も昆虫も穀物も食べます。ハシブトガラスはもともと熱帯地域の森の鳥で、果実を主に食べていたのでしょうが、温帯域の日本に進出してくると人の生活圏(せいかつけん)に住みついて、人が出した残飯(ざんぱん)などのゴミに依存(いぞん)して生活するようになりました。ご飯粒でもパンの耳でもなんでも食べますが、やっぱり肉類が好きなようで、ソーセージや卵焼きには目がないようです。東京のハシブトガラスは早朝にポリ袋をやぶって生ゴミを散らかすので、問題になったことがありました。カラス類は世界中に分布していますが、それは「何でも食べられる」というカラス類の雑食性(ざっしょくせい)によるものだと思っています。

ハシブトガラス

このように、地球上のいろいろな地域に、いろいろなものを食べる鳥が住んでいることが、生物の多様性に貢献しています。虫を食べる鳥もいれば、花の蜜を吸う鳥もいます。昆虫は、鳥に食べられないようにまわりに溶け込み、敵にみつかりにくくなったり、食べるとまずかったり、毒のある虫やハチのように刺すなど、害のある虫に見られる派手(はで)な警告色(けいこくしょく)を進化させます。花は、鳥がきてくれるように、鳥が好きな色や形を進化させます。いろいろな食性の鳥がいることで、鳥の食べ物になる動植物の色や形や行動に影響を与え、住んでいる場所ごとに、どんどん種の多様性を高めていくのです。

まとめ

鳥によって食べるものが違うんだね!
私たちに身近な鳥はどんなご飯を食べているのだろう?みつけて特徴も調べてみよう!

解説者紹介

上田 恵介

1950年大阪府生まれ。
動物生態学者。元立教大学理学部生命理学科教授。元日本鳥学会会長。
鳥類を中心に動植物全般の進化生態学のほか、環境問題の研究にも取り組む。
日本野鳥の会評議員で、会長。会員による鳥類学論文集「Strix」の編集長も務める。

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