トラツグミ
スズメ目ツグミ科 全長約30㎝
九州以北の山林にいるが北日本では春夏のみで、本州中部以南では冬期には低地でも見られるようになる。黄褐色の地に黒く細い斑が並ぶ姿はタイガースファンならずとも見てみたくなるが、茂った林の地上にいることが多く難儀する。地鳴きは、ほかのツグミ類に似ているが、さえずるのは夜で、ヒーと笛のような声が聞かれる。最近、別種となったミナミトラツグミは、姿はそっくりだが、さえずりは、まったく異なる。
※鳴き声が再生されます。
夜に響く声は悲しげか?不気味か?
物悲しげな?夜のさえずり
春から初夏までが野鳥の繁殖期で、そこかしこでオスたちのさえずりが聞こえます。
夜の山林で耳をすませばフクロウの仲間やヨタカ、トラツグミなどの声に気づくでしょう。特に「キョッキョッキョッ」と続けるヨタカと、「ヒー」というトラツグミは簡単にわかります……と言いたいところですが、トラツグミは時にお化けやUFO騒ぎのもとになります。近くで聞くと味わい深い震えるような声ですが、一般には物悲しい声と評され、距離があると単調な「ヒー」、あるいは金属音のようにも聞こえます(UFOの音と噂され物議をかもすこともあります)。
「鵺(ぬえ)の鳴く夜は恐ろしい」などで知られる、「妖怪ぬえ」の正体は、トラツグミとされています。

歌が違えば種が違う?
センダイムシクイやオオヨシキリで紹介したように、さえずりは私たちが種を見分ける上で役立ちますが、鳥たちにとっては最重要と言えるでしょう。メスは同じ種のオスを選ばなくてはならないので、特に姿が似ている種同士では、さえずりの違いが交雑を防ぐことになるはずです(一般に、遺伝的独立が種の定義とされる中、別種の間で生まれた雑種個体は繁殖能力に欠けると考えられています)。
奄美大島には、トラツグミそっくりの鳥が生息していて、これまで亜種オオトラツグミとされてきました(亜種とは種以下の分類単位で、同じ種の中でさらに区分する際、用いられる)が、分布だけでなく、さえずりもまったく異なり、主に早朝に聞かれます。日本鳥学会では2024年発行の日本鳥類目録改定第8版で、この鳥をトラツグミとは別種として、「ミナミトラツグミ」を種名にしました。















































































