ニュースリリース

2011年4月15日
特定非営利活動法人 京都文化協会
キヤノン株式会社

つづりプロジェクト」第四期作品が完成
海外に渡った「江戸風俗図屏風」(菱川師宣筆)や「雲龍図屏風」(俵屋宗達筆)など

特定非営利活動法人 京都文化協会(以下 京都文化協会)ならびにキヤノン株式会社(以下キヤノン)が取り組んでいる「綴プロジェクト」(正式名称「文化財未来継承プロジェクト」)の第四期作品が、このほど完成しました。 これらの作品は、オリジナルの文化財を所有している所蔵元などへ寄贈します。

「江戸風俗図屏風」六曲一双 江戸時代 菱川師宣筆

「綴プロジェクト」概要/第四期では国宝を含む高精細複製品が完成

「綴プロジェクト」とは、オリジナル文化財の保存と複製品の活用を目的として、京都文化協会が主催し、キヤノンが共催して推進している社会貢献活動です。キヤノンの入力、画像処理、出力に至る先進のデジタルイメージング技術と、京都伝統工芸の匠の技との融合により、屏風や襖絵、絵巻物など古くから日本に伝わる貴重な文化財の高精細な複製品を制作しています。2007年からスタートした本プロジェクトでは、「海外に渡った日本の文化財」、「歴史をひもとく文化財」の2つのテーマのもと、毎年文化財を選定し、昨年までに全15作品を制作しました。
2010年8月より制作を開始した第四期では、米国フリーア美術館所蔵の「江戸風俗図屏風 えどふうぞくずびょうぶ」 (菱川師宣ひしかわもろのぶ筆)と「 雲龍図 屏風うんりゅうずびょうぶ」( 俵屋宗達たわらやそうたつ 筆)、三井記念美術館所蔵の国宝「「雪松図 屏風ゆきまつずびょうぶ」( 「円山応挙まるやまおうきょ筆)など、合計6作品の制作を終えました。

完成した第四期作品をそれぞれの所蔵元やゆかりの地へ寄贈

第四期6作品のうち、すでに建仁寺に寄贈した「風神雷神図屏風ふうじんらいじんずびょうぶ」(俵屋宗達筆)を除く5作品を、4月18日から27日にかけて、それぞれオリジナルの文化財の現所蔵元や、文化財にゆかりのある博物館、大学へ寄贈します。
完成した複製品のうち、建仁寺 方丈障壁画は、すでに第二期(2008年3月~2009年2月)に制作を完了した重要文化財「 雲龍図 襖うんりゅうずふすま」( 海北 友松かいほうゆうしょう 筆)4面に続き、第四期で新たに12面を制作しました。今後、第五期(2011年4月~2012年3月)、第六期(2012年4月~2013年3月)と制作を続け、建仁寺を開山した 栄西禅師ようさいぜんじの800年の 大遠諱だいおんき*(2014年)までに、全50面を完成させる予定です。
なお、寄贈した複製品は、寄贈先などで広く一般公開されるほか、日本の歴史・芸術・文化を伝える生きた教材として、小学校や中学校といった教育の場でも活用されていく予定です。

  • *禅の礎を築いた栄西禅師への報恩感謝と禅の未来を願う法要

第四期対象作品

作品名 員数 作者名 時代 寄贈先
神護寺三像じんごじさんぞう(国宝)
伝 藤原光能像でん ふじわらのみつよしぞう
三幅のうち一幅 伝 藤原隆信でん ふじわらのたかのぶ 鎌倉時代 高雄山 神護寺
(京都府京都市)
建仁寺 方丈障壁画けんにんじほうじょうしょうへきが十二面
(重要文化財)
襖五十面のうち
十二面
海北友松かいほうゆうしょう 安土桃山時代 臨済宗 大本山 建仁寺
(京都府京都市)
雲龍図屏風うんりゅうずびょうぶ 六曲一双 俵屋宗達たわらやそうたつ 江戸時代 東京藝術大学大学美術館
(東京都台東区)
風神雷神図屏風ふうじんらいじんずびょうぶ(国宝)*2 二曲一双 俵屋宗達たわらやそうたつ 江戸時代 臨済宗 大本山 建仁寺
(京都府京都市)
江戸風俗図屏風えどふうぞくずびょうぶ 六曲一双 菱川師宣ひしかわもろのぶ 江戸時代 千葉県立中央博物館
(千葉県千葉市)
雪松図屏風ゆきまつずびょうぶ(国宝) 六曲一双 円山応挙まるやまおうきょ 江戸時代 三井記念美術館
(東京都中央区)
  • *1「神護寺三像」のうち伝 源頼朝像でん みなもとのよりともぞう伝 平重盛像でん たいらのしげもりぞうは、綴プロジェクト第三期(2009年3月~2010年2月)に既に完成し、高雄山 高野山真言宗 神護寺に寄贈しました。
  • *2「風神雷神図屏風」は、2011年2月8日に、マンダリンオリエンタル東京で行われた寄贈式にて、臨済宗 大本山 建仁寺に寄贈しました。