野鳥の撮りかた
基本的な野鳥の撮りかたからレンズの選び方、様々な撮影方法をご紹介いたします。
フォトグラファー紹介
野鳥写真家
戸塚 学
1966年愛知県生まれ。
「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。現在は野鳥にとどまらず、生きものを含めた環境の撮影を進行中。
『鳥たちは今日も元気に生きてます』(文一総合出版)ほか、書籍、雑誌、コマーシャルなどに作品を多数発表している。
野鳥撮影に必要なのは観察と優しい気持ち
やはり野鳥写真は野鳥がいてこそ成り立つものです。どんなにカメラの機能がよくなろうとも、主役の野鳥がいなくなれば意味がありません。
私が野鳥を被写体に写真を始めたころはまだフィルムでした。ピント合わせもマニュアルでした。機材は高価だしフィルムだけでなく現像代もかかるので簡単にシャッターを切ることができませんでした。その分、野鳥をしっかり観察してその一瞬を撮ることに専念していました。
しかし時代は変わり、デジタルカメラの進化と情報化によって野鳥撮影が情報とカメラで決まるようになると、いつの間にか主役の野鳥たちはただの被写体になり、まるでカードゲームをコンプリートするかのような状況になってしまいました。
珍鳥といって日本ではめったに見られることができない野鳥が出た場合は、一気にカメラマンが集まり問題行動も起こすこともあります。ただ、悪い面ばかりではありません。たくさんの人が趣味にすることで、野鳥を含めた環境問題にも目を向けられるようになりました。私たちが野鳥を見て撮影する楽しさをできるだけ後世まで残すことが野鳥たちにとってもいいこと、まさに共存になると思うのです。
無理をしたり、ひどいことをしたりして撮った写真は、見る人が見ればわかります。そんな写真がコンテストなどで評価されず、ほほえましい姿やたくましく生きる姿をたくさんの人と共有できるようになればと思います。野鳥に対してできるだけ迷惑をかけない、プレッシャーを与えないという優しい気持ちが誰にでも芽生えれば、その周りにいるカメラマンに広がり、いずれはより良い関係性になるのではと思っています。これは私の希望ではありますが、誰もが楽しむ野鳥写真をこれからも提案したいと思っています。