野鳥の撮りかた4
きちんと構えてブレを防ぎましょう
なんだか写真がぼやけちゃう。うまく撮れないのはどうして?
カメラの構えは、基本が大切。いい加減に構えると、手ブレによるピンボケ写真や斜めの写真になってしまいます。とくに焦点距離が長くなればなるほど手ブレが起こりやすくなります。
カメラの持ち方は?気をつけることは?
右手でグリップを包むように握り、左手でレンズを下から支えるように持ちます。
右手の人差し指の腹をシャッターボタンに軽くのせます。
脇をしっかり締めて、両ひじを軽く体の前につけます。
一眼レフカメラの場合は、カメラを額につけるようにして、ファインダーをのぞきます。この時、モニターに鼻があたって汚れるのをいやがる人もいますが、手ブレを防ぐことが重要。モニターは後で拭けばOK。
立って撮影する場合は脇を締め、片足を軽く踏み出し、体を安定させるようにします。足は肩幅程度に開き、リラックスした状態に。無理な体勢だと疲れやすくなります。
座って撮影する場合は、片膝を立てて、体を安定させます。左ひじは膝の上につきましょう。
超望遠レンズで手持ち撮影をする場合は、木に寄りかかったり、レンズやカメラを安定した場所に乗せたりすることで、手ブレをかなり減らすことができます。
飛んでいる野鳥を撮影する場合は、レンズの先のほうを左手で支えるように持つとバランスが良くなり、野鳥の動きに対応しやすくなります。
縦位置で撮影する機会が多いときは、カメラにバッテリーグリップを装着すると、横位置の時と同じように安定した姿勢でシャッターボタンが押せるようになります。
三脚が必要なのはどんなとき?
従来、超望遠レンズを使う野鳥撮影では、それを支えるための三脚が不可欠でした。しかし最近は、「IS(イメージスタビライザー)」という手ブレ防止機能の性能が上がり、手持ちできる超望遠レンズが増えたことで、必ずしも必要ではなくなってきています。また、三脚は機動力に欠けることもあり、敬遠する方も増えてきました。「機動力」を重視するなら、手軽な一脚を使用するという手もあります。
三脚を使用するときの姿勢は、基本的に手持ちスタイルと同じ。ただ、超望遠レンズを三脚につけた場合には、右手はカメラのグリップに乗せ、左手はレンズの上に乗せたり、下からピントリングに軽く触れたりするようにするといいでしょう。
※一脚や三脚を使用する時は撮影マナーを守って正しく使いましょう。
コラム
手ブレを防ぐレンズの「IS」機能ってなに?
キヤノンのレンズには「IS(イメージスタビライザー)」いう「手ブレ防止機能」がついているものがあります。 ISをONにすると、暗い場所でも手ブレを防ぎ、鮮明な写真を撮ることができます。説明書には「三脚使用時はOFFにしてください」とありますが、超望遠レンズの場合、三脚を使用しても細かな手ブレが生じるのでONのままでOK。ただし、動かない野鳥をスローシャッターで撮影する場合は「IS」が誤作動をすることがあるのでOFFにして、リモートスイッチ(※)で撮影するといいでしょう。
※リモートスイッチとは、リモコンによってシャッターを切ることができるアクセサリーです。
ピントが合っているのに、ぼやけて見えるのはどうして?
ピントはカメラが合わせてくれているはずなのに、ファインダーをのぞいたときに、被写体がぼやけて見えることがあります。これは視度調整ができていないからかも。調整する際は、レンズを付けたカメラを空や何もない部分に向けて「視度調整つまみ」を回しましょう。ファインダー内のAFフレームがはっきりきれいに見えればOK。
実際に構えてみました
「カメラの正しい構え方」と聞くと窮屈なイメージでしたが、実際にやってみると、すごくカメラが安定しているのがわかりました。最初はカメラを顔に押しあてたり、木に押し付けたりすることに抵抗がありましたが、戸塚先生の「あとで拭けばいい」という言葉に、思い切ってやってみました。
戸塚先生のコメント
撮影で重要なことは、とにかくブレを抑えること。せっかくいい写真が撮れても、ブレてしまっていては台無しです。カメラは精密機器だけど、落としたり、ぶつけたりするのでなければ基本的には大丈夫ですよ。 ただし、防水機能や防塵機能が付いていないカメラでは、水滴や細かい砂に気をつけて。