野鳥の撮りかた8
Av(絞り優先AE)モードで撮ってみましょう
草むらでエサを食べている鳥が目立つように、背景をボカしたいんだけど・・・
そんなときは「Av」モードの出番です! ≪このモードを「A」モードというカメラもあります≫
Av(絞り優先AE)モードで撮れる写真ってどんなの?
「Av(絞り優先AE)」モードは、撮影者が自由に「絞り(F値)」を設定できる撮影モードです。
小さい絞り数値で背景をボカしたり、反対に大きい絞り数値で手前から遠くまでピントを合わせるなど、任意の絞り数値にすることでボカし具合を変えることができます。
※数値が大きくなるほど、レンズの絞り径は小さくなります。表示される絞り数値はレンズによって異なります。
ピントの合う範囲(被写界深度)ってなに?
「絞り(F値)」を変えてピントが合う範囲を調整します。ピントが合う範囲のことを「被写界深度」と言います。「被写界深度が深い」とは近くから遠くまでピントが合っている状態です。逆に「被写界深度が浅い」とはピントが合っている範囲が狭く、手前や背景などがボケている状態になります。
「絞り(F値)」を調節してみよう
撮影モードを「Av(絞り優先AE)」に設定します。
「絞り(F値)」の操作を行います。ダイヤルを回し、数字を確認しながら撮影しましょう。
「絞り(F値)」は数値が小さいほど「絞り」が開いている(被写界深度が浅い)状態、数値が大きいほど絞り込んでいる(被写界深度が深い)状態です。
基準(絞り F8)
適度に背景がボケている。背景の雰囲気を残しつつ、主役を浮き立たせている
絞り : F8
シャッタースピード : 1/250秒
ISO感度 : 800
露出補正 : -0.3
焦点距離 : 500mm
一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)
被写界深度が深い(絞り F22)
バックの竹林が、はっきりと認識できる。しかし、手前の竹の葉や顔にかぶる枝もしっかりと描写されてしまっており、ごちゃごちゃとうるさい印象を感じる。
絞り : F22
シャッタースピード : 1/60秒
ISO感度 : 800
露出補正 : -0.3
焦点距離 : 500mm
一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)
被写界深度が浅い(絞り F4)
顔にかぶる枝がボケて、形がわかりづらくなっているので、あまりうるさく感じない。バックの竹林も原型がわからないくらいにボケており、緑色と青色のグラデーションの背景に、アオサギだけが浮き上がって見える。
絞り : F4
シャッタースピード : 1/1000秒
ISO感度 : 800
露出補正 : -0.3
焦点距離 : 500mm
一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)
「絞り」「シャッタースピード」と「明るさ(露出)」の関係
これらの写真ではISO感度を800に固定しています。絞り(F値)が手動で変更されると、それに応じてシャッタースピードが自動的に変化し、明るさ(露出)を一定に保ちます。しかし動きのある被写体の場合、「シャッタースピード」が遅くなると手ブレや被写体ブレが生じやすくなるので注意が必要です。
実際に撮ってみました
あまり動かないヤマドリを被写体に、「Av(絞り優先AE)」で「ISO感度」をAUTOにして、「絞り(F値)」を変えながら撮影してみました。「絞り」を開放すると、あこがれの背景ボケ写真が簡単に撮れます。ピントの前後はボケて被写体が引き立つので、かっこいい写真になりました。
撮影時の設定
Av(絞り優先AE)+ISO AUTO+露出補正-1 ※今回の絞りはF22、F11、F5.6の3種類
絞り : F22
シャッタースピード : 1/400秒
ISO感度 : 6400
露出補正 : -1
焦点距離 : 300mm
一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)
絞り : F22
シャッタースピード : 1/400秒
ISO感度 : 2500
露出補正 : -1
焦点距離 : 300mm
一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)
絞り : F5.6
シャッタースピード : 1/400秒
ISO感度 : 6400
露出補正 : -1
焦点距離 : 300mm
一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)
戸塚先生のコメント
「絞り(F値)」が小さければ小さいほど、周囲がボケた写真になります。「絞り(F値)」の範囲はレンズによって異なり(野鳥の撮り方②参照)、小さいF値で撮影が可能なレンズは「明るいレンズ」と呼ばれ、サイズも大きいです。
絞り F22(絞り込んだ)
絞り込む(F値が大きい)ことで被写界深度が増し手前から奥までピントが合っている
絞り F11 (中間)
羽根がしっかりと描写され、絞り22の写真より周囲の葉がボケているのがわかる
絞り F5.6 (開放)
目にはピントが来ているが、胸辺りの羽のピントが若干甘くなり、周囲の葉が目立たなくなっている