野鳥の撮りかた9
「ISO感度」を使った明るさ調節をマスターしましょう
「Tv」や「Av」の特徴はわかったけど、写真が暗くなったりブレたりしちゃう。 それなら、「センサーの感度」を調整すれば解決できます!
明るさをコントロールする
「絞り(F値)」「シャッタースピード」「ISO感度」
「絞り(F値)」「シャッタースピード」の数値が変わると明るさが自動的に調整されます。さらに「ISO感度」を高くすることで、暗い場所でも撮影することができます。
ISO感度ってなんのこと?
ISO感度とは、センサー(※)の光の感じやすさを数値化したものです。撮影場所の明るさに応じて設定します。
ISO感度を上げた時(数値を大きくした時)は、暗い場所でも速いシャッターが切れるメリットがある半面、画像ノイズが目立ってしまうことがあります。反対に、ISO感度が低いとき(数値を小さくした時)は画像ノイズの少ないきれいな写真を撮ることができますが、暗い場所ではスローシャッターになるためブレやすくなります。
※センサーとは、被写体の明るさや色を電気信号に変換する装置のこと。撮像素子やイメージセンサーなどともいわれます
ISO感度を上げるとどうなるの?
「ISO感度」を上げることで、シャッタースピードが速くなるため、手ブレや被写体ブレを抑えることができますが、ノイズが発生しやすくなります。ここで、ISO感度とノイズの関係を見てみましょう。「ISO感度」は数字が大きいほど感度が高い状態です。
撮影モードを「Av(絞り優先AE)」に設定します。
ダイヤルを回して「絞り」を固定します。
本来は「絞り(F値)」を下げて撮影しますが、ここでは効果がわかりやすいよう、「絞り(F値)」をやや大きめの「F11」に設定します。
「ISO感度」の操作を行います。
ISO200
ISO200だと感度が低いため、たくさんの光をとりこもうとしてシャッタースピードが遅くなる。そのため手ブレと被写体ブレが発生した写真になっている。ブレていることで低感度の粒状性もわからない。
絞り : F11
シャッタースピード : 1/15秒
ISO感度 : 200
露出補正 : 0
焦点距離 : 700mm
一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)
ISO3200
ようやく顔の動きを止めることができた。若干ノイズが目立つようになってきた。
絞り : F11
シャッタースピード : 1/250秒
ISO感度 : 3200
露出補正 : 0
焦点距離 : 700mm
一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)
ISO16000
動きが止まっているので、シャープではある。しかし、ノイズによって、細かい羽根の模様がやや分かりづらくなっている。
絞り : F11
シャッタースピード : 1/1250秒
ISO感度 : 16000
露出補正 : 0
焦点距離 : 700mm
一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)
このシーンでは、ISO3200で撮影するのがベスト
本来は「絞り(F値)」を下げるので、これほど「ISO感度」を上げなくても速い「シャッタースピード」で撮影することができます。ISO感度とシャッタースピードを調整し、ノイズの発生を考慮して「何を見せたいか?」を考えることが大切です。
※カメラの機種ごとにISO感度で発生するノイズの量は異なるため、別のカメラで同じ設定で撮影しても同様のノイズが発生するとは限りません。また、カメラによっては「高感度撮影時のノイズ低減」という機能もあります。
実際に撮ってみました
動物園の暗い館内で、小さなスポットライトを頼りにカイツブリの一種を撮影してみました。撮影モードは「Tv(シャッター優先AE)」。少しざらざらしているものの、思ったよりもずっときれいに明るく撮れたので驚きました。
撮影時の設定:「Tv」(シャッター優先AE) + ISO 12800 + 露出補正 -1
絞り : F5
シャッタースピード : 1/320秒
ISO感度 : 12800
露出補正 : -1
焦点距離 : 105mm
一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)
戸塚先生のコメント
ISOの数値は「12800」。もう少し数値を上げられれば、被写体の動きを止められたかもしれませんね。ISO感度を上げると、フラッシュを使用しなくてもこのような暗い室内や、夜間でも撮影することができます。