01 TECHNOLOGY 生活に欠かせない半導体・ディスプレイをつくる技術と挑戦。 01 TECHNOLOGY 生活に欠かせない半導体・ディスプレイをつくる技術と挑戦。

  • 半導体露光装置 半導体露光装置 半導体露光装置 半導体露光装置の投影工学系とステージ 半導体露光装置 半導体露光装置 半導体露光装置の投影工学系とステージ
  • FPD露光装置 FPD露光装置 FPD露光装置 FPD露光装置のミラー反射光学系とステージ FPD露光装置 FPD露光装置 FPD露光装置のミラー反射光学系とステージ
  • ナノインプリントリソグラフィ ナノインプリントリソグラフィ ナノインプリントリソグラフィ ナノインプリントリソグラフィのレジスト噴出とマスクの接触 ナノインプリントリソグラフィ ナノインプリントリソグラフィ ナノインプリントリソグラフィのレジスト噴出とマスクの接触

半導体露光装置と
日常生活のつながり

今、使っているスマートフォン。たとえば10年前と比べると、ものすごく進化していると思いませんか。その進化には、「半導体デバイス」が大きく関わっています。小さなスマートフォン端末の中には、ナノメートル単位の微細な電気回路が収められた数ミリ角の半導体チップが数多く入っており、さまざまな機能を実行しています。半導体デバイスをつくるためには、半導体露光装置が欠かせないのです。

半導体
一般的に、半導体電子部品やそれらを集積した
ICやLSIを指す(元々はシリコンなどの物質を意味していた)。
半導体露光装置
半導体のベースとなる基板(ウエハー)に、
回路パターンを露光して転写するための装置。

紫外光

レチクル

レチクルステージ

投影光学系

ウエハー

ウエハーステージ

レチクル
半導体の回路パターンが描かれた原版のこと。
レチクル上のパターンがレンズで縮小されてウエハー上に投影される。
レチクルステージ
レチクルを載せている台。
高速・高精度でウエハーステージと同期しながら移動する。
ウエハー
半導体の基板となるもの。
単結晶シリコンでできているものが一般的。
ウエハーステージ
ウエハーを載せている台。
高速・高精度で移動する。

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半導体露光装置
の詳しい仕組み (スキャナーの場合)

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    レチクルの上から紫外光を照射します。

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    投影レンズを通してレチクルのパターンを
    ウエハー上に結像します。

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    レチクルステージ
    ウエハーステージ
    同期して動かし、
    レチクルのパターンを
    ウエハー上の露光エリアに
    転写します。

    こんなにすごい!半導体露光装置① こんなにすごい!半導体露光装置②
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    ウエハーステージ
    ウエハーを隣の
    露光エリアに
    動かします。

    こんなにすごい!半導体露光装置③
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    上記の工程を繰り返します。

スキャナー
1つの露光エリアを露光する際にレチクルと
ウエハーを同時に動かして露光する装置。
レチクル
半導体の回路パターンが描かれた原版のこと。
レチクル上のパターンがレンズで縮小されてウエハー上に投影される。
レチクル
半導体の回路パターンが描かれた原版のこと。
レチクル上のパターンがレンズで縮小されてウエハー上に投影される。
ウエハー
半導体の基板となるもの。
単結晶シリコンでできているものが一般的。
レチクルステージ
レチクルを載せている台。
高速・高精度でウエハーステージと同期しながら移動する。
ウエハーステージ
ウエハーを載せている台。
高速・高精度で移動する。
レチクル
半導体の回路パターンが描かれた原版のこと。
レチクル上のパターンがレンズで縮小されてウエハー上に投影される。
ウエハー
半導体の基板となるもの。
単結晶シリコンでできているものが一般的。
ウエハーステージ
ウエハーを載せている台。
高速・高精度で移動する。
ウエハー
半導体の基板となるもの。
単結晶シリコンでできているものが一般的。

社会の進化を支える
半導体デバイス

  • ■スマートフォン
  • ■テレビ
  • ■パソコン
  • ■自動車
  • ■冷蔵庫
  • ■eSports
  • ■自動運転
  • ■データセンター
  • ■電車の運行システム
  • ■水道などの制御システム etc
半導体
デバイス

あらゆるものがインターネットにつながるIoTの時代が到来し、ネットワーク上で人と人とが繋がるインタラクティブな社会が広がっています。生活にも取り入れられはじめたAI(人工知能)や、クラウドサービス、5G通信などの先進技術を実現するためには、半導体の進化(回路の微細化)が不可欠。そして、半導体の進化は半導体露光装置の進化が支えているのです。

次世代の半導体露光装置、
ナノインプリントリソグラフィ

半導体チップには、非常に微細な回路が搭載されています。小さな半導体チップにより多くの回路を搭載し、半導体チップの性能を高めるには、回路パターンの線幅をどれだけ微細にできるかが重要です。
キヤノンは、これまでとはまったく異なる原理を採用した、次世代の微細化技術「ナノインプリントリソグラフィ」を開発。従来の半導体露光装置では、投影レンズを通して回路パターンをウエハー上に結像していましたが、ナノインプリントリソグラフィでは、回路パターンを彫り込んだマスクをレジストに押し付けることで基板にパターンを形成します。光学系を介さないため、マスク上の微細な回路パターンをより忠実にウエハー上に再現できるようになり、さらなる微細化が可能に。半導体の高性能化を実現しています。

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ナノインプリントリソグラフィ
の詳しい仕組み

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    回路パターンに合わせて
    液滴状にしたレジスト
    正確な位置に吐出します。

    こんなにすごい!ナノインプリントリソグラフィ①
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    マスクレジスト
    押し付け、マスク
    彫り込まれた極小の
    溝にレジストを満たします。

    こんなにすごい!ナノインプリントリソグラフィ②
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    紫外線を当て、レジストを硬化させます。

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    マスクをていねいに
    はがします。
    硬化したレジスト
    回路パターンとなります。

    こんなにすごい!ナノインプリントリソグラフィ③
レジスト
回路をつくる樹脂。
紫外線で硬化する性質がある。
マスク
回路パターンが
デザインされた型。
レジスト
回路をつくる樹脂。
紫外線で硬化する性質がある。
マスク
回路パターンが
デザインされた型。
レジスト
回路をつくる樹脂。
紫外線で硬化する性質がある。
レジスト
回路をつくる樹脂。
紫外線で硬化する性質がある。
マスク
回路パターンが
デザインされた型。
レジスト
回路をつくる樹脂。
紫外線で硬化する性質がある。

ナノインプリントリソグラフィが半導体の未来を担う

半導体は、すでに身近なものに使われている技術です。しかし、現状ではその性能向上やコスト低減が技術的限界を迎えつつあるのも事実。ナノインプリントリソグラフィはその限界を打破することで半導体チップの高性能化・多機能化・低消費電力化などの進化を実現し、新たな未来を切りひらく可能性を秘めています。

FPD露光装置と
日常生活のつながり

スマートフォンや大型テレビ、パソコンのモニター、街中のデジタルサイネージ(電子看板)、スマートウォッチなど薄型の映像表示装置に欠かせないもの。それがFPD(Flat Panel Display)です。FPDの中には、R(赤)G(緑)B(青)の3色からなる微細な画素(ピクセル)が100万個以上も画面上に配列されており、FPD露光装置はこの膨大な数の画素配列パターンの描画を担っています。高精細でスムーズな映像、それがもたらす便利な生活は、FPD露光装置が実現しているのです。

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フォトマスク

感光性レジスト
/基板

プレートステージ

台形ミラー

凹面ミラー

凸面ミラー

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FPD露光装置の詳しい仕組み

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  1. 1

    回路パターンが描画されたフォトマスク
    紫外光を照射させます。

  2. 2

    フォトマスク
    透過した光は
    台形ミラー、
    凹面ミラー、
    凸面ミラーを
    (1)~(5)の順で
    計5回反射されます。

    こんなにすごい!FPD露光装置① こんなにすごい!FPD露光装置② こんなにすごい!FPD露光装置③
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    感光性レジストが塗付された
    ガラス基板に回路パターンが照射され、
    焼き付けられます。

FPD
フラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display)の略称。
LCD(液晶ディスプレイ)、OLED(有機ELディスプレイ)などの総称。
フォトマスク
回路パターンが描かれている透明な原版。
フォトマスク
回路パターンが描かれている透明な原版。
フォトマスク
回路パターンが描かれている透明な原版。
感光性レジスト
光によって性質が変化する物質。
ここではFPDの回路となる。
フォトマスク
回路パターンが描かれている透明な原版。
感光性レジスト
光によって性質が変化する物質。
ここではFPDの回路となる。
プレートステージ
FPDの回路となる感光性レジストなどを
塗布したガラス基板を載せる台。

FPDが使われている主な製品

映像・文字を表示させるディスプレイの多くがFPDです。高精細なモニターを搭載したデジタル製品はFPDが支えています。車載ディスプレイや航空機のコックピット、VRゴーグル、電子黒板など、次世代ディスプレイに対応するため、FPD露光装置も日々進化を続けています。

  1. 高速で加速できるステージ

    レチクルステージとウエハーステージは、露光のタイミングや位置に合わせて、高速・高精度に移動。その加速度は、12G以上。ロケットの打ち上げ(4G)や、急旋回する戦闘機にかかる最大加速度(9G)をも凌駕しています。

  2. 解像力

    半導体露光装置は、目で見えるよりもはるかに微細な回路を描いています。限られた面積のウエハーにどれだけ細かい回路を描けるかが、半導体の性能を左右するからです。 1回の露光エリア(26mm×33mm)をサッカーコートの大きさと仮定した場合、コート上に0.2mmのペンで線を描くような細かさで、露光しています。

  3. 位置決め精度

    露光装置は、回路パターンの露光を何度も繰り返します。その位置決め精度は非常に正確。すでに露光した下層部分に対して正確に位置決めをしないと、回路全体のクオリティーが低下します。その精度をゴルフにたとえると、東京からハワイにホールインワンが狙えるぐらいの正確さです。

  1. レジスト配置の技術

    レジストは、多すぎても少なすぎても回路パターンの形成に支障をきたします。マスクを押し付けてもレジストがはみ出さずに、またレジストが不足しないような適切な量を任意の回路パターンに応じて算出しています。さらに、算出したとおりに正確に配置するのも至難のわざ。キヤノンがインクジェット技術で培った技術を応用して、レジストを吐出する複数のノズルを個別に管理し、制御・調整しています。

    液滴の精密なコントロールが必要な「塗布」

  2. 重ね合わせ精度

    半導体チップは複数のパターン層を積み重ねてつくるため、下の層のパターンに対する重ね合わせ精度が重要です。しかし、製造工程のさまざまな処理によってウエハー上のパターンは複雑に変形しており、精度の高い重ね合わせが困難でした。
    キヤノンはウエハーにレーザーを照射して、熱によって下の層のウエハーと重ね合うように変形させるシステムを開発することで、これを解決。「物体を変形させる熱は精度が悪化する要因」という常識を逆手に取り、高い重ね合わせ精度を実現しました。

  3. 最先端の解像力

    従来の半導体露光装置では38nmが解像力の技術的限界と言われていました。しかし、回路形成そのものの仕組みを大きく変えることでナノインプリントリソグラフィは15nm以下の解像に成功。1回の露光エリア(26mm×33mm)をエジプトの巨大ピラミッドの底面と仮定すると、0.2mmのペンで絵を描くぐらいの精密さに匹敵します。半導体技術に革命を起こすといわれる技術です。

    凸面ミラーと人の大きさ比較 直径:1.5m 重さ:1.3
  1. 高精度の大型凹面ミラー

    フォトマスクの数μm(マイクロメートル、1μm=100万分の1m)単位の微細な回路パターンを、大型のガラス基板に露光し転写する際、核となるのが凹面ミラーです。直径約1.5mの大型凹面ミラーは、キヤノンの光学技術を応用して非常に高精度に製造されています。

  2. 解像力

    FPD露光装置では、超大型のガラス基板にμm回路を描くことが可能です。テレビの55型パネル6枚分の範囲に、線幅約2μm(髪の毛1本の約50分の1)という精密さを誇ります。5回のミラー反射を経ることで完全対称形の光学構造となります。レンズを通した露光と比較すると、光の波長の違いによる色収差も発生しないため、大きな面積のパネルにおいても、高い解像力が得られます。

  3. 高速かつ正確に
    制御できるプレートステージ

    大面積のガラス基板(プレート)を載せているプレートステージは非常に重く、アジアゾウ一頭ほどの重量です。このプレートステージの駆動性能が、FPD露光を効率的に製造するひとつのカギとなります。キヤノンは、超精密な計測と強力なリニアモーター、非接触のエア・ベアリング技術などにより、約900mm/秒の高速かつμm単位の高精度な駆動を実現しています。