テクノロジー

デジタルビジネスプラットフォーム デジタルビジネスプラットフォーム

お客さまに新たな価値を提供するキヤノンのデジタル基盤技術

デジタルビジネスプラットフォーム

クラウド(サイバー)とハードウエア製品(フィジカル)との連携(サイバーフィジカルシステム)により製品価値を高めるキヤノンの「デジタルビジネスプラットフォーム」が、お客さまの期待やニーズを先回りした新たな価値を提供します。

2023/10/16

キヤノン製品の機能性や利便性を高めるデジタル技術の共通化

かつて製品の付加価値の多くはハードウエアに内蔵されていましたが、近年、ほとんどの製品がネットワークに接続されています。クラウドやデジタル技術を用いて提供される各種機能やサービス、データ分析ソリューションなど、サイバー空間との組み合わせで、体験の質を高める製品の機能が求められています。
キヤノンは、自社の製品を核として、製品をクラウドで安心・安全に利用できる環境を提供する「基本サービス」、製品の安定稼働を支える「スマートサービス」、さらに発展させ、お客さまに新たな価値を提供する「顧客課題解決サービス」を展開。これら3つのサービスを支える技術基盤となるのがデジタルビジネスプラットフォームです。
別の観点でいえば、デジタルビジネスプラットフォームは、キヤノンのハードウエア(フィジカル=製品)を、クラウド(サイバー空間)につなげることで価値を提供する基盤技術群です。これをキヤノンの「サイバーフィジカルシステム」と定義し、サイバー空間と安全につながり、製品の常時見守り機能や、不具合予知などの機能を実現しています。そうすることで、安心して製品をご利用いただき、お客さまの期待やニーズを先回りしてお応えできるように、製品やサービスの拡充を図っています。

各種サービスをキヤノンのデジタル技術を用いて支えるデジタルビジネスプラットフォーム

セキュアに、高速に安定的につながる基本サービスを製品に搭載

お客さまの体験価値を最大化するためには、映像画像技術に強みをもつキヤノンの入出力機器が、サイバー空間と連携して、セキュアかつ安定的につながっていることが重要です。機器とサイバー空間を無線でつなげるためには、Wi-Fiや5Gなどの国際標準規格に準拠した通信技術が使われます。このためキヤノンは、Wi-Fiや5G通信などの国際標準規格団体に積極的に参画し、仕様の提案を行い、標準化の早い段階からその仕様を把握することに注力しています。
これらの国際標準規格をベースに、大容量の高画質画像を高速にクラウドにアップロードする通信制御技術の開発や、セキュリティチップを活用した機器のセキュリティ強化など、ユースシーンやデータに応じて、高速・簡単・安定・セキュアに通信する技術を開発しています。アンテナや無線モジュールといった通信のハードウエアとソフトウエアなどは、プリンターやカメラなど、キヤノンの全領域の製品に搭載できるようにキヤノン内で開発。技術を共通化し、多くの製品に標準搭載しています。

サービスを高速/簡単/安定/セキュアにつなぐ通信技術

技術基盤を応用させ、ハイブリッドワークへの移行を支援

キヤノンは企業向けにオフィス複合機の印刷管理やスキャン機能を拡張するクラウドサービス「uniFLOW Online」を提供しています。
uniFLOW Onlineは社員証などを用いて、プリント認証を行い、誰が何をプリントしたのかの利用状況を集計することができ、また文書をクラウド上に保存しておき、必要な人が近い場所のプリンターで印刷することができます。コロナ禍を通じて在宅勤務とオフィス出社を併用するハイブリッドワークが浸透し、自宅においてもオフィス同様の生産性や利便性が求められている一方で、情報セキュリティへの不安や、在宅勤務での印刷状況管理の難しさが課題となっています。
キヤノンはuniFLOW Onlineをさらに発展させ、自宅にある個人向けプリンターにも対応する「Hybrid Work Print Standard」というサービスを開始し、印刷枚数、ファイル名などのデータ収集も可能となりました。このソリューションにより企業側は情報漏洩のリスクを低減し、自宅での業務印刷に伴う費用精算などにも活用できます。このように時代の要請に応じ、柔軟に対応できるよう、アプリケーションの枠組みを自在に変えることができます。

自宅プリンターでもセキュリティを担保する「Hybrid Work Print Standard」

自宅プリンターでもセキュリティを担保する「Hybrid Work Print Standard」

データ活用を大きく進化させ、お客さま価値の向上に貢献

キヤノンは、データ活用を大きく進化させてお客さまの価値向上に貢献しています。プリンティング分野では、ネットワーク化されたオフィス向け複合機のトナーの残量情報をもとにトナーの自動配送を行うだけでなく、ドラムをはじめ、さまざまな消耗部品の消耗度のデータを収集・解析。利用状況から部品寿命を検知して、計画的に部品交換を行うサービスを提供しています。
さらに製品に内蔵されている各部品のセンサー情報も収集し、製品の稼働状況と照らし合わせ、故障につながる予兆を検知。故障する前にメンテナンスを行い、ダウンタイムの最小化を実現するなど、より積極的な保守サービスへと広げ、お客さまに安心してご利用いただけるサービスを提供しています。

お客さまのプリンターの状態を見守るオンラインサポートサービス

お客さまのプリンターの状態を見守るオンラインサポートサービス

半導体製造装置の分野では、キヤノンは、自社の半導体露光装置をサポートする「Lithography Plus」というサービスを提供しています。世界中のキヤノンの露光装置が生みだす膨大な稼働データを解析し、お客さま先にて稼働している装置の最適化を実現。一方で、装置トラブルやその予兆をリアルタイムで検知する「異常検知」機能により、一般的に、1年中稼働する半導体露光装置の故障を未然に防止し、装置の高稼働率を実現しています。

装置トラブルやその予兆を検知する Lithography Plus

装置トラブルやその予兆を検知する Lithography Plus

医療分野では、キヤノンメディカルシステムズの遠隔診断システム(InnerVision)でお客さまのCTなどの装置状況をつねにモニタリング。トラブル発生時も、遠隔で装置の状態を解析して、サポートを行うことにより、タイムリーに問題を解決しています。

遠隔診断システムで装置状況をモニタリング

遠隔診断システムで装置状況をモニタリング

さらには製品そのものの機能的な見直しのリサーチにも役立ちます。技術、ノウハウを入れた新製品を世にだしていくなかで、複雑化しがちな機能や動作モードが、実際にどのように使われているかを分析することも必要です。収集したデータを分析し、機能の統廃合やユーザーインターフェースの見直しを行うことで、お客さまが本当に欲しい製品の開発に役立てています。

キヤノンはこのようなデジタルビジネスプラットフォームをさらに進化させ、お客さまの課題解決など、新たな価値の提供を実現していきます。

「技術の価値を高める基盤」内の記事を見る