バードウォッチングに行こう vol.1
バードウォッチングの基本と道具
いつ、どこで何を見ればいい?
「バードウォッチングはどこでできますか?」「鳥はどこにいるのですか?」と尋ねられて、「どこにでも鳥はいますよ」と伝えても、ピンとこない人が多いようです。通勤途中や散歩中にももちろん、いつでも・どこでも、バードウォッチングはできます。
鳥を見つけるのに必要なのは、「意識すること」です。
わざわざ遠くに行かず、自宅周辺の公園、神社やお寺、川や池などの水辺でスタートするのがおすすめです。
まずは鳴き声を気にしてみましょう。日常生活にある音を構成しているのは、風の音、車や電車の音、話し声のほかに、鳥の鳴き声もまぎれています。
「チュンチュン」「ピー」「ギャーギャー」など、鳥の鳴き声が聞こえたら、どんな鳥なのか探してみましょう。ふだんは目に入っていないだけで、スズメやカラスのほかにも、日常生活で出会えている鳥は20種近くいます。
おすすめの季節は春と冬
春になると、たくさんの鳥(夏鳥)が繁殖のために日本に渡ってきます。鳥がいちばん活発な季節なので、目にする機会が多いでしょう。 秋・冬になると、カモやガン、ハクチョウやカモメなどの冬鳥も渡ってきます。 とくに冬の湖や池などの水辺には、比較的からだの大きなカモの仲間がいます。からだが大きめで小鳥より動きが少ないので、初心者のバードウォッチャ-でも落ち着いて観察でき、おすすめです。
バードウォッチングにおすすめの道具や服装
いざ、近くの公園にバードウォッチングに出かけようというとき、何を持っていけば良いでしょうか。道具とスタイルを確認し、出かける準備をしてみましょう。
双眼鏡
双眼鏡が一台あれば、遠くの樹木や水辺にいる野鳥をじっくり観察できます。倍率は8~10倍がおすすめ。手ブレ補正機能がついていれば、より快適に観察することができるでしょう。
選び方や使い方について、詳しくはこちらをご覧ください。
野鳥図鑑
鳥の見分け方がわかる薄型の図鑑から入門しよう
図鑑にはいろいろな種類がありますが、初心者には、その鳥の特徴をわかりやすく示しているイラストのものがおすすめです。鳥の仲間ごとに、羽根の色やくちばしの形、大きさなどが比べられるような内容が入っているほうが、鳥の見分けがつきやすいでしょう。また、はじめは、たくさんの種類が掲載されている分厚いものよりも、よく見られる野鳥に絞ってある薄型の図鑑が使いやすく、おすすめです。
MY図鑑に見た鳥の記録をつけよう
自分の図鑑に、観察した鳥の記録をつけましょう。いつ、どこで、どの鳥を見たのか、図鑑に日時や場所を記入しておくと、次の年のバードウォッチングにも役立ちます。
服装
バードウォッチングは野外で活動します。日よけや虫よけのため、基本は長袖&長ズボンスタイルがおすすめです。春夏は紫外線対策、日差しよけにツバのある帽子も良いでしょう。
観察中は、双眼鏡を持ったり、図鑑を見たりと両手を使います。バッグは両手が自由になるリュックなどにしましょう。足元は履きなれた運動靴で。
また、急な天気の変化にそなえ、レインコートやポンチョなどの雨具があれば、さらに安心です。寒いときは防寒着としても活用できます。冬の観察の場合、ダウンジャケットやカイロなどで寒さ対策をしっかりと。
カメラ
野鳥撮影にあると便利な望遠レンズ
最近では、野鳥を撮影する人も多くなりました。カメラを持参して、観察した鳥を記録に残してみませんか。
カメラの選び方から、野鳥撮影のマナー、初心者にもわかりやすい野鳥の撮り方はこちらをご覧ください。
バードウォッチングで双眼鏡を使ってみよう
双眼鏡を持って野鳥観察へ。
倍率は8~10倍が最適
野鳥との出会いは町中や公園、川辺などで突然やってきます。バードウォッチングは基本、肉眼で野鳥を探しますが、双眼鏡をもっていると、より楽しい世界が広がります。少し遠い樹木や川辺などにいる鳥の姿形や動作などをじっくり見ることができます。
双眼鏡を手にしてみよう
倍率×口径を選ぶ
倍率が高いほうがよさそうな気がするかもしれませんが、バードウォッチングには、8~10倍の倍率がおすすめです。これは、倍率の高さが視野(視界)の広さに関係するためで、倍率が高くなるほど、視野は狭くなります。視野が狭いほど、鳥を視角に捉えるのがむずかしくなるため、8倍から10倍のものが適当だとされます。
双眼鏡には「10×32」のように倍率が書いてあります。はじめの数字(10)は倍率、後ろの数値(32)は対物レンズの口径の直径(mm)を示しています。口径が大きいほど明るく見やすいレンズとなります。
双眼鏡の部位
双眼鏡の部位を確認しておきましょう。
眼鏡の人は?
眼鏡をかけている人は、アイカップ(顔に当たるゴムの部分)を
折り返して見るのがお勧めです。
ストラップの長さを調整する
バードウォッチングでは、双眼鏡を首から下げて野外を歩いて観察します。まずは出発前に、双眼鏡のストラップ(ひも)の長さを調節しておきましょう。首から下げたときに胸のあたりにくるようにやや短めにしておくと、すぐに目の位置に持ってきてのぞくことができる上、歩いても体とぶつからずに疲れません。
目幅を調節する
次に双眼鏡の接眼レンズを目に近づけてみます。レンズの幅と目幅があうように本体を左右に動かして、のぞいてみましょう。レンズを両目でのぞき、2つある円がひとつになるように調節します。
双眼鏡を実際に使ってみよう
まずは慣れよう!近くの木や看板を見てみよう
動く鳥を視野の狭い双眼鏡でとらえるには、少々慣れが必要です。近くにある看板などを見て、使い方に慣れましょう。まずは肉眼で、看板などの対象物を見てください。次に、視線と顔の位置を動かさずに、目にそーっとレンズをあてるようにして、双眼鏡でのぞいてみます。視線を対象から外さないのがコツです。どうしても、双眼鏡を見てしまいそうになるのを、ぐっと我慢します。
拡大された様子が見られるでしょうか。看板の文字は読めるでしょうか。ピントはあっていますか? あっていなければ、ピント調節つまみで調節しましょう。双眼鏡は、対象が近いほど、ピント合わせがたいへんです。最初は遠くから、次第に近い対象をとらえるようにして、ピントを合わせるように訓練しましょう。
双眼鏡ではこのように、対象物をまず肉眼でとらえ、次に双眼鏡でのぞいて拡大して見る、というのが使い方の基本です。
身近な鳥から見てみよう
では早速、鳥を見る練習をしましょう。まずは肉眼で、カラスやスズメなど身近な鳥を探します。地上や木の枝にとまる様子を見つけたら、そこから視線を外さず、目にレンズをあてます。たとえばカラスの光沢や目の色、羽の動きなどが大きく見られたでしょうか。今まで知らなかった世界が広がるのが、バードウォッチングの楽しみのひとつです。遠くにいる鳥、やや大きい鳥、動かない鳥から見つけてみるのが初心者にはおすすめです。
双眼鏡で鳥をとらえるコツ
枝にいる小鳥など、小さな対象を視野に入れる場合、幹や枝のような視野に入れやすい目印から、双眼鏡を移動させるとよい。
使い方の注意点
双眼鏡で太陽を直視するのは絶対にやめましょう。またマナーとして、双眼鏡を人へ向けたり、住宅地で使ったりすることも控えましょう。
視度を調節する
左右の視力が異なる人は、レンズの視度を調節します。まずは、双眼鏡を覗いて、右側の対物レンズを手でふさぎます。左目だけでのぞきながら、ピント調節つまみをまわしてピントを合わせます。次に左側の対物レンズをふさぎ、右目だけでのぞきながら、今度は視度調整リングを回してピントを合わせます。最後に両目で見て確認します。