野鳥の撮りかた5
構図を変えてワンランクアップ
どの写真もみんな同じ雰囲気に見えるのはどうして? 構図とは、被写体や背景の配置のこと。同じ場所で同じ被写体を撮影しても、構図の良し悪しで写真が大きく変わります。
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オオジュリン
中央にオオジュリンを配置すると、図鑑用としては申し分がない。しかし絵的にはつまらないので、左端にカンゾウの花がちょっぴり入れる場所を探すと、ちょうど四分割法の構図にすることができた。目線の先に空間が入ることで安定した雰囲気になる。
絞り : F8
シャッタースピード : 1/400秒
ISO感度 : 400
露出補正:-0.7
焦点距離 : 207mm
コンパクトデジタルカメラ
どの写真も同じように見えるのはどうして?
レッスン3では、AFエリアを中心として野鳥の目にピントをあわせましょうと書きました。素直に実践していくと、無意識のうちに被写体を中央に配置する「日の丸構図」になります。 日の丸構図は、もっとも基本的な構図。初心者が被写体を捉える際に有効です。ここでは日の丸構図の他に、3つの基本的な構図を紹介します。
基本的な構図ってなに?
日の丸構図
メインの被写体を中央に配置した構図。もっとも基本的で、初心者が被写体を捉える際に有効です。この構図をマスターすることが、写真上達への第一歩です。
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対角構図
画面の対角を結んだ線上に、メインの被写体やポイントとなる背景を配置した構図。画面に躍動感や奥行き感を出すことができます。
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三分割法
画面を縦横に三分割し、その線上または交点上にメインの被写体やポイントとなる背景を配置した構図。被写体の物語を感じさせ、とたんに写真がプロっぽくなります。
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四分割法
画面を縦横に四分割し、その線上または交点上にメインの被写体やポイントとなる背景を配置した構図。三分割法よりもさらに背景を広くとるので、表現の幅が広がります。
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構図を変えるのって難しい!
はじめのうちは、撮影しながら構図を考えるのは一苦労です。そんな時は、日の丸構図のままカメラを縦位置にしてみるのが効果的。 また、できるだけ高画質で撮影しておいて、あとでトリミングして調整することもできます。
コラム
構図づくりを助けてくれるカメラの機能
ファインダーをのぞいたときに、視野を格子線で分割する「グリッド」を表示できる機能をもったカメラもあります。構図の確認がしやすくなるので撮影に便利です。 また、カメラの傾きを表示する「電子水準器」の機能を持ったカメラもあります。水平・垂直の傾きがファインダーをのぞいたまま確認できるため、構図づくりに威力を発揮します。
実際に撮ってみました
基本の日の丸構図で、カメラを縦に持ち変えてみました。おなじヤマガラの写真でも、雰囲気が変わっておもしろいです。次はもっといろんな構図に挑戦したいと思います
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横位置
絞り : F5.6
シャッタースピード : 1/400秒
ISO感度 : 400
露出補正:0
焦点距離 : 300mm
一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)
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縦位置
絞り : F6.3
シャッタースピード : 1/400秒
ISO感度 : 1250
露出補正:0
焦点距離 : 300mm
一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)
戸塚先生のコメント
横位置は、茂みの中から覗いた雰囲気で、とても安定した構図です。縦位置にしたことで、鳥の目線の先が広がり、動きを感じられるようになりました。上部の葉の影が少しうるさいのが惜しいかな。 被写体の周囲にまで気を配れるようになると、ぐんといい写真になります。