速く飛ぶ鳥たちと速さのヒミツ
みんなは、地球で一番速い生きものってなんだと思う?
走るのが速かったり、泳ぐのが速かったり、
それぞれの生きものがどれぐらい速いのか見てみよう!
チャレンジ 1
速い生きものはいろいろいます。走る動物で一番速いのは、アフリカのサバンナにすむチーターです。チーターは
走るのが
水の中にはもっと速い生きものがいます。たとえばマグロ。マグロはずっと泳ぎつづけている魚ですから、とても速そうですが、せいぜい時速70キロメートル
チャレンジ 2
しかし地上や水中の生き物より速いのは空を飛ぶ鳥です。一番速い鳥はなんでしょう。ギネスブックには2
ハヤブサの仲間はほかの鳥を
同じように高い空から急降下するイヌワシでも速度が測られています。ハヤブサにはかないませんが、時速322キロメートルというスピードが記録されています。しかし
水平飛行では、ハリオアマツバメが時速169キロメートル、アマツバメが時速166キロメートルの記録をもっています。アマツバメ類はツバメの仲間ではなくヨタカやハチドリと近いグループです。彼らは上空を高速で飛び、
ツバメ類は細くて長いつばさをもち、いかにも高速で飛んでいるように見えます。しかし、アマツバメ類とくらべると小回りのきく飛び方はできますが、水平飛行のスピードはそんなに速くありません。
私は、わたっているツバメがどれくらいの速さで飛んでいるか、見たことがあります。
当時、船は東京―小笠原間の1,000キロメートルを25.5時間で
春になると南の国からツバメたちがやってきます。冬になると北の国からハクチョウたちがやってきます。ツバメは春夏に日本にいるので夏鳥、ハクチョウは冬に日本にいるので冬鳥と呼ばれています。夏と冬で、なぜ鳥たちは移動(わたり)をするのでしょう。それは食べ物と子育てのためです。ツバメが夏に日本にやってくるのは、虫の多い夏に日本で子育てをするためです。ハクチョウたちが冬に北からやってくるのは、冬になるとシベリアの大地が雪と氷で覆われ、えさを探すことができないからです。
チャレンジ 3
身体の大きなカモ類のスピードは、昔はセスナなどの
その中で、アフリカのツメバガンは時速143キロメートルという記録を持っています。カモ
水中に潜るカモたちの飛ぶスピードが速いのは、彼らが水中に潜って魚を食べるときにつばさも使って進むので、
飛んでいるときの位置のデータを時間に沿って記録すれば、その鳥が2つの場所の間をどれくらいの速度で移動したかを知ることができます。
日本野鳥の会では、北海道のオオジシギに
もっとすごい記録をもっているのがオオソリハシシギです。オオソリハシシギはなんとアラスカの繁殖地から、太平洋を12,000キロメートル、一度も休むことなく飛行して、越冬地のニュージーランドまで11日間で到着しています。平均速度は時速45キロメートルくらいです。
鳥は速く飛べる。でも、鳥たちもふだんはそんなに速くは飛びたくないのかもしれないね。鳥たちがいつ、どこで、なんのために速いスピードを出すのかには、その鳥の
鳥が飛んでいるところを見つけたら、どんな飛び方をしていたか、どれくらい速かったか、なんのために飛んでいたのか考えて、ワークシートに書き込んでみよう。「鳥のヒミツをときあかせ vol.2 鳥はなぜ飛べるの?」にもいろいろな鳥の飛び方がのっているよ。
commentator
1950年大阪府生まれ。
動物生態学者。元立教大学理学部生命理学科教授。元日本鳥学会会長。
鳥類を中心に動植物全般の進化生態学のほか、環境問題の研究にも取り組む。
日本野鳥の会評議員で、会長。会員による鳥類学論文集「Strix」の編集長も務める。