歴史館年代から見る

2001年-2004年

2001-2004

勇躍するデジタルイメージング

あらゆる機器においてデジタル化の波が加速するなか、カメラやビデオカメラは、画質・軽量・操作性のさらなる向上をめざしてしのぎを削る。光学系・制御系・処理系などすべてにおいて革新が求められるデジタルイメージング。使い勝手についても、撮影時の操作性はもちろん、撮影後の処理や仲間で共有する環境づくりなどにも広がり、メーカーの多様な力量が問われる時代になっている。

本格的デジタル一眼レフへ

325万画素CMOSセンサー搭載の一眼レフデジタルカメラ「EOS D30」

1990年代後半に登場したデジタルカメラは、2000年以降、波状的に拡大していく。これまで高価なプロ用超高級機にとどまっていたデジタル一眼レフカメラを一般コンシューマーに広げたのは、2000年(平成12年)9月に発売の「EOS D30」だ。新開発の325万画素大型CMOSセンサーやRGBカラーフィルターを搭載し、独自のデジタル信号処理を実現。また、クラス世界最小・最軽量のボディを達成しデジタル一眼レフカメラは重くて大きいという常識を塗り替えた。絵文字を選ぶだけで高度な撮影テクニックが全自動で使えるイメージセレクトモードや全自動モードを搭載。35分割評価測光による適正な露出とE-TTL自動調光に対応した内蔵ストロボにより、手軽で自然な雰囲気のストロボ撮影を可能にしている。業界標準の画像ファイルフォーマットに対応しているほか、撮影した画像データに信号処理を加えず、そのままの形で記録するRAWモードを搭載し、パソコンによる現像処理で、ユーザーが思い通りの画質を得られるように配慮されている。

プロにも信頼を集めるデジタル一眼レフカメラの最高峰「EOS-1D」

高画質・高機能を極めるデジタル一眼レフカメラの頂点は、2001年(平成13年)には、最高レベルの機動性によりスポーツ・報道分野に最適な「EOS-1D」と、2002年(平成14年)、ポートレート撮影や商品撮影、さらには風景写真といった分野に威力を発揮する「EOS-1Ds」の2機種に結実する。プロ写真家をはじめデジタル写真の完成度を追求する専門家たちに絶大な支持を集めた。



画像処理を担う独自開発のCMOSセンサー

高画質を実現する総画素数約325万画素の大型CMOSセンサー

高画質・「EOS D30」をはじめ、普及型デジタルAF一眼レフ「EOS Kiss Digital」、最高級機種「EOS-1Ds」などにおいて、デジタル一眼レフならではの高画質化を推進したのが大型CMOSセンサーである。低消費電力、低コストに優れている反面、感度が悪く、画像の欠損や劣化の原因となるノイズが多いなど懸念されていた課題を独自技術で一挙に克服。ハイライト部からシャドウ部まで豊かな階調を表現し、長時間露光や高ISO感度の撮影でも、色ムラやノイズを抑える撮像素子として進化の中心役を果たした。325万画素(「EOS D30」)から、約630万画素(「EOS Kiss Digital」)へ、その後もさらなる高画素化を実現し、「EOS-1Ds」に搭載した大型CMOSセンサーにおいては、世界初フルサイズ1110万画素という他の追随を許さぬ領域に達した。

世界初積層型回折光学素子レンズ採用の超望遠レンズ「EF400mm F4 DO IS USM」

一眼レフ交換用AFレンズ群「EFレンズ」においても進化が重ねられた。2001年(平成13年)、新開発の積層型回折光学素子(DO)レンズを世界で初めて採用した超望遠レンズEF400mm F4 DO IS USMを発売。DOレンズのもっとも際立った特長は、屈折レンズ系で発生する色収差を理想的な状態で徹底的に抑えるとともに、シャープで抜けのよい優れた描写性能を発揮する点だ。その結果、望遠光学系の飛躍的な全長短縮が実現でき、低比重ガラスの採用実現、構成レンズ枚数削減などにより、レンズ全体の軽量化を達成。超望遠レンズの宿命とされる手ブレを補正する機能や防塵・防滴性能も市場で高く評価された。



高性能化する「PowerShotシリーズ」

400万画素CCD・光学3倍ズーム搭載のコンパクトデジタルカメラ「PowerShot S40」

高画質・多機能・コンパクト・ファッション性で幅広い層に人気の「PowerShot Sシリーズ」。2001年(平成13年)10月発売の「PowerShot S40」は400万画素CCDを、12月発売の「PowerShot S30」は320万画素CCDを搭載。縦横比1:2のワイド&ロープロポーションに大型レンズカバーをスライドさせるカプセル型フォルムで人気を博した。1998年当時が81万画素であったことからみると、CCDの高画質化はわずか3年たらずで飛躍的に進歩したことになる。しかし、差別化ポイントはピクセル競争から、忠実な色再現性や使い勝手に移っていく。2002年10月(平成14年)に発売した「PowerShot S45」は、色再現性に優れた原色タイプのカラーフィルターとデジタル信号処理IC「DIGIC」に加え、姿勢検知センサー「SIセンサー」を搭載し、AF・AE・AWB(オートホワイトバランス)の精度を一層向上させている。

パソコンを介さずにプリントできる「カメラダイレクト」

デジタルカメラで撮影した写真はホームページに掲載したり、パソコンに保存する一方、お気に入りの写真をプリントしてアルバムに残したり、家族や友人に配布するニーズが急速に高まってきた。そこでカメラとプリンタを専用ケーブルでつなぐだけで高画質プリントできる「カメラダイレクト」を開発。パソコンを介さずに簡単な操作で手軽にプリントできる点が評価され、一般のユーザー、とくにパソコンの苦手な人々にも好評で迎えられた。「PowerShot S40」「PowerShot S30」で初めて可能となった「カメラダイレクト」は、以降、デジタルカメラの全機種に搭載する標準機能となった。

高性能画像処理プロセッサー「DIGIC」

大口径比4倍ズームレンズと4メガピクセルCCDを搭載した「PowerShot G3」

2002年(平成14年)9月には、最上位機種「PowerShot G3」を発売した。約400万画素の高精細CCD、4倍ズームレンズを備え、開放F値でF2.0-3.0という大口径比を実現。さらに、カメラの縦・横位置を自動的に検知する「SIセンサー」や撮影シーンに応じてAF・AE・AWB(オートホワイトバランス)を制御する「iSAPS」テクノロジーをも採用している。15~1/2000秒の幅広いシャッタースピード、ボケ味の演出やマクロ時のストロボ撮影を可能にする内蔵NDフィルターなどの機能面でも充実を図った。一般的にデジタルカメラではシャッター時のレスポンスタイムが遅く、せっかくのシャッターチャンスを取り逃がしてしまうという課題があった。新開発の映像エンジン「DIGIC」は、汎用型プロセッサーを遥かに上回る処理能力を備え、CMOSセンサーやCCDがもたらす膨大な映像情報を高速処理することができる。

コンパクトデジタルカメラのラインアップ充実

さらなる小型・軽量化、よりスタイリッシュに変身した「PowerShot A70」

高画質でノイズレス、しかも処理速度の速い映像エンジン「DIGIC」は、以降コンシューマー向けデジタルカメラに標準搭載されることになる。2003年(平成15年)3月発売の「PowerShot A70/A60」には、「DIGIC」、「iSAPS」はもちろんのこととして、複数のAF枠から得られる測距情報に基づいて、カメラが自動的に被写体の状況に応じて最適な焦点位置をきめるAiAFを従来の機種に引き続き搭載している。その測距点を従来の3点から5点に増やすことでより自由なフレーミングが可能になり、撮影モードも従来の5通りから12通りへと大幅に増えたことで、さまざまな撮影シーンに合わせた最適な撮影ができるようになった。

320万画素CCD、光学2倍ズームのおしゃれな普及型「IXY DIGITAL 320」

映像エンジン「DIGIC」、「iSAPS」テクノロジーなど、先進のデジタル映像技術は次々に新製品に移植される。2003年(平成15年)3月、「超コンパクト・スタイリッシュデザイン」を基本コンセプトにした普及型デジタルカメラ「IXY DIGITAL 320」は、高画素化を求めるユーザーニーズに応え、シリーズ初の320万画素を持つ1.2/2.7型CCDを搭載。APSの代名詞として登場し親しまれ続ける「IXY」は、「撮って、つないで、すぐ写真」を実現するおしゃれなデジタルカメラブランドとしても新しい流れをリードしている。

「EOS Kiss Digital」のセンセーション

630万画素CMOS センサー搭載、普及型デジタルAF一眼レフ「EOS Kiss Digital」

デジタルカメラ界を揺るがすセンセーショナルな出来事が2003年(平成15年)9月に起きた。普及型デジタルAF一眼レフカメラ「EOS Kiss Digital」の登場である。フィルムカメラの分野でベストセラーを続けるEOS Kissシリーズの基本コンセプトを継承し、誰もが、いつでも、どこでも気軽に、高画質の撮影が行えるデジタル普及機として投入したのだ。約630万画素大型単板CMOSセンサーと、その能力を最大限に発揮する画像処理プロセッサー「DIGIC」により高精細・高画質・自然な色あいを実現。EOS DIGITALシリーズの中でも最小・最軽量のコンパクトボディに、モードダイヤル・電子ダイヤルなどを集中配置することで高い操作性を可能にした。この高性能と普及価格で業界にセンセーションを起こした「EOS Kiss Digital」は、発売以来多くのファンを獲得し、本格デジタル一眼レフの愛好者の層を一気に広げた。

小型・軽量・高画質な標準ズームレンズ「EF-S 18-55mm F3.5-5.6 USM」

「EOS Kiss Digital」大ヒットの影にベストマッチレンズとして標準同梱された専用ズームレンズ「EF-S 18-55mm F3.5-5.6 USM」を見逃すことはできない。「EOS Kiss Digital」に搭載されたAPS-CサイズのCMOS センサーに最適化するため、レンズ最終面から撮像面までの距離を短くしたショートバックフォーカス光学系を採用し、使用頻度の高いズーム域(35mm判カメラ換算で29-88mm相当)を獲得しつつ、ズーム全域での高画質とレンズ全長の短縮化を実現した。当初「EOS Kiss Digital」専用として登場したが、大ヒットが呼び水となり、2004年(平成16年)9月単体で販売された。

デジタルビデオカメラの進化

光学22倍ズーム搭載のコンパクトデジタルビデオカメラ「FV30<撮レビアン>」

デジタル化の進歩はデジタルビデオカメラにおいても著しい。パソコンの高性能化やブロードバンドの普及により、撮影した映像をパソコンで編集したり、送受信したりする環境が整いつつある。このような中で、気軽に使いこなせるデジタルビデオカメラはますます熱を帯びてきた。2002年(平成14年)2月、デジタルビデオカメラ「FV30KIT」と3月「FV200KIT」を相次いで発売した。「FV30KIT」は、持ち歩きやすいコンパクトなボディに光学22倍の高倍率ズームレンズを搭載し、静止画記録用としてマルチメディアカードおよびSDカードに対応したメモリカードスロットを装備。一方の「FV200KIT」は、光学18倍という高倍率ズームレンズを搭載しているほか、暗いところでもカラー撮影ができるナイトモード機能など、初心者にも多彩な機能が使いこなせるように配慮した入門機として支持された。

プロユースから普及機まで多彩な顔ぶれ

写真もビデオもダブル高画質、超小型・軽量の「IXY DV2 M2」

デジタルビデオカメラのラインアップは、プロやハイアマチュア向けには「XL1S」「XV1」を筆頭に、中級者にはメガピクセル機の「PV130」、初・中級者には写真もビデオもダブル高画質で超小型・軽量の「IXY DV2 M2」、さらにはコストパフォーマンスにすぐれた「FV30KIT」、「FV200KIT」となった。両機のズームレンズは両面非球面レンズの採用により、高倍率でありながら諸収差を良好に補正し、高画質を実現するとともに、レンズユニットの小型化にも成功している。また、手ブレ補正機能を装備しているため、超望遠撮影も安心して行える。バッテリーやACアダプター、ケーブル類などすべてのアクセサリーキットを含めたオールインワンパッケージにより、コストパフォーマンスを追求している。

レンズ交換も可能なデジタルビデオカメラの最高峰「XL2」

2004年(平成16年)7月、デジタルビデオカメラの最上位機種としてレンズ交換が可能なXL2を発売。これまでフィルムで制作されていた映画、CMなど業務用のリプレイスとして、またCGやエフェクト処理などが容易に行え、撮影された映像を多様なメディアで活用するニーズに応えての新機種投入だ。「XL2」は、ワイドTVモードにも対応した1/3型・総画素数約68万画素プログレッシブスキャン3CCDを採用。水平画素ずらし方式を採り入れることで画素数を実質1.5倍に増やし540本の水平解像度を達成しており、デジタルビデオカメラの最上位機種にふさわしい高水準の映像品質を実現している。

静止画記録やインターネット活用にも注目

静止画もきれいに撮れる2.2メガピクセルCCD搭載「FV M1 KIT」

デジタルビデオカメラに静止画の画質や機能の向上も求める声も高まっている。200万画素を超えるCCD、色再現性に優れたRGB原色フィルター、高性能エンジン「DIGIC DV」を併せることで、動画も静止画も高画質を追求した結果、2003年(平成15年)7月に発売した「FV M1 KIT」と「IXY DV M2 KIT」には、カメラメーカーとして蓄積してきた画づくりのノウハウや高画質撮影に不可欠な高速デジタル処理技術などをワンチップに集約した独自開発の映像エンジン「DIGIC DV」を搭載している。さらに、デジタルビデオカメラをインターネットによる双方向コミュニケーションツールとして活用するのが付属のユーティリティソフト「DV Messenger 2」。ビデオカメラをテレビ電話的に使いこなす世界も開拓している。キヤノンは、映像エンジン、カメラやレンズのハードウェア、ソフトウェア、さらにはコンテンツ公開などに統合的に取り組み、動画・静止画の垣根を超えて、デジタルイメージングの新しい世界を切り開いている。

この記事は2004年11月現在のものです。