キヤノン株式会社、シャープ株式会社、ソニー株式会社、日本ビクター株式会社の4社は、 DV規格カセットテープを用いて高精細なデジタルハイディフィニション(HD)映像の記録再生を可能にする「HDV(仮称)規格」の基本仕様を策定しました。「HDV規格」には、720p(プログレッシブ)方式と、1080i(インターレース)方式があり、世界のHDインフラに幅広く適合した商品開発が可能です。 4社は本仕様を関連する業界に積極的に提案するとともに、2003年9月頃を目処に「HDV規格」正式版を確定したいと考えております。
日本国内におけるBSデジタルハイビジョン放送及び今年12月に予定されている地上デジタル放送の開始を始めとし、今後各国でHD放送の拡大が見込まれており、また、それに伴うHDテレビの普及、「デジタルハイビジョンビデオ(D-VHS)」や「ブルーレイディスクレコーダー」の発売など、家庭でHD映像を楽しむ環境がますます充実してきています。
「HDV規格」は、現在全世界で普及している民生用デジタルVCR規格「DV規格」をベースとしながら、 MPEG2で圧縮されたHD信号のデータ記録仕様を新たに定めたHD VCR規格です。 DV規格と同じカセットやテープスピード、トラックピッチを採用しているため、ドラムやカセットコンパートメントなどの主要メカニズムは、DV規格のものをそのまま利用することが可能となり、既存のDV規格の商品と高い親和性を持った商品設計が容易です。
今回提案する「HDV規格」のうち、720p方式は、日本ビクター株式会社が2003年3月に発売したデジタルハイビジョンビデオカメラ「GR-HD1」に採用されているものと同じ方式です。「HDV規格」では、この720p方式に1080i方式を加え、お客様ご自身で高精細な映像を撮影することを広く提案し、HD映像の楽しみを広げてまいります。
「HDV規格」では、映像と音声をMPEG方式で圧縮して記録します。映像は、BSデジタル放送などで採用されているMPEG2方式(フレーム間圧縮)によりデータ量を圧縮し、 DV規格SD仕様(フレーム内圧縮)と同等のビットレートで、高精細なHD映像の記録再生が可能となります。音声はサンプリング周波数48kHz/量子化ビット数16ビットの信号を、MPEG1 Audio LayerII方式で384kbpsに圧縮して記録します。
走査線数720本(プログレッシブ)水平画素数1280 画素の720p方式(60p、30p、50p、25p)と、走査線数1080本(インターレース)水平画素数1440画素の1080i方式(60i、50i)に対応しています。本格的HD時代に相応しい高精細な映像の記録再生を実現します。
「HDV規格」では、DV規格SD仕様に採用されているトラック内のみのエラー訂正方式を、複数のトラック間の訂正方式とすることで、エラー訂正能力を飛躍的に向上させ、ドロップアウトなどによるトラック内のデータ欠落の耐性を強化しています。
映像データはMPEG方式で圧縮されており、サーチ等の特殊再生時には映像の表示が困難です。「HDV規格」では、特殊再生時に使用する専用データをテープ上に配置し、サーチやスロー等の特殊再生時における映像表示を可能にしています。 (特殊再生時の画質は通常再生時とは異なります。)
メディア | DV規格と同じ (DVまたはミニDVカセットテープ) | |
映 像 | ||
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ビデオ信号 | 720/60p、720/30p 720/50p、720/25p |
1080/60i、1080/50i |
画素数(水平×垂直) | 1280×720 | 1440×1080 |
アスペクト比 | 16:9 | |
圧縮方式 | MPEG2 Video(プロファイル&レベル:MP@H-14) | |
輝度サンプリング周波数 | 74.25MHz | 55.7MHz |
サンプリング構造 | 4:2:0 | |
量子化ビット数 | 8ビット(輝度/色差共) | |
圧縮後のビットレート | 約19Mbps | 約25Mbps |
音 声 | ||
圧縮方式 | MPEG1 Audio LayerII | |
サンプリング周波数 | 48kHz | |
量子化ビット数 | 16ビット | |
圧縮後のビットレート | 384kbps | |
音声モード | ステレオ(2チャンネル) | |
システム | ||
システム規格 | MPEG2 Systems | |
ストリームタイプ | Transport Stream | Packetized Elementary Stream |
ストリームインターフェース | IEEE1394 (MPEG2-TS) |