キヤノンは、半導体製造後工程向け露光装置市場に新たに参入し、次世代パッケージ技術である三次元実装に最適な半導体露光装置"FPA-5510iV"を7月7日より発売します。
FPA-5510iV
スマートフォン(高機能携帯電話)やタブレット型端末をはじめとするさまざまな電子機器の小型化・高性能化に伴い、半導体の微細化、高集積化への要求が一段と高まっています。
その実現方法として、複数の半導体チップを平面ではなく、垂直に積み重ねる三次元実装があり、そのチップ間を接続する方法として、シリコン貫通電極(TSV)*1およびバンプ*2が注目されています。
これらの方法により、従来の金属細線を使ったワイヤボンディングに比べ、小面積でも、メモリーの記憶容量の大幅な向上やデータ転送速度の高速化、消費電力の低減が可能となります。
キヤノンは、このたびTSVおよびバンプ形成に最適な半導体露光装置"FPA-5510iV"を新たに開発し、発売します。
新製品は、前工程向け半導体露光装置「FPA-5500iZ」シリーズで培った技術を活用した、キヤノン初の後工程向けi線ステッパーです。
高解像・高スループット・高い重ね合わせ精度を実現し、急速に進む半導体の高性能化・高集積化の需要に対応します。
TSVおよびバンプ形成工程では、ウエハー上に厚膜のレジスト(保護膜)を塗布します。 "FPA-5510iV"は、厚膜レジスト露光に適した1μmから数十μmまでに対応したNA*3の新投影光学系を採用し、TSVおよびバンプにおいて必要とされる、小径で深い垂直の穴を厚膜レジストに形成することができます。 さらに、新投影光学系にNA可変機能を搭載することで、焦点深度、レジスト形状、解像力を制御でき、幅広い露光パターンに対応します。
半導体製造前工程で使用される露光範囲26X33mmの約2倍に相当する52X34mmを一括露光できる投影光学系と、4.5kW高出力ランプを搭載した照明光学系により、高い生産性を実現します。
半導体素子製造においては三次元構造化への要求が高まりつつあり、特に、スマートフォン(高機能携帯電話)・タブレット型端末・MPU(超小型演算処理装置)の高機能化や、クラウドコンピューティング向けサーバー用メモリーの高速化の実現に向けて、TSV技術を用いた三次元実装の導入が加速すると予想されます。 これに伴い、後工程向け半導体露光装置の市場も順調に拡大することが期待されます。