特定非営利活動法人 京都文化協会(以下 京都文化協会)ならびにキヤノン株式会社(以下 キヤノン)が取り組んでいる「綴プロジェクト」(正式名称「文化財未来継承プロジェクト」)の第5期の計3作品が、このほど完成しました。これらの作品を、オリジナルの文化財を所有している所蔵元や、公的な文化施設へ寄贈します。
「群鶴図屏風」 六曲一双 江戸時代 尾形光琳筆
2011年4月より制作を開始した第5期では、米国フリーア美術館所蔵の「桜図屏風」(伝俵屋宗達筆)と「群鶴図屏風」(尾形光琳筆)、そして建仁寺所蔵の重要文化財「建仁寺方丈障壁画」全50面*1のうち「竹林七賢図(16面)」および「山水図(4面)」(いずれも海北友松筆)の計3作品が完成しました。
第5期3作品のうち、すでに昨年12月に建仁寺に寄贈した方丈障壁画「竹林七賢図」「山水図」を除く2作品「桜図屏風」と「群鶴図屏風」を、このたび公益財団法人東京都歴史文化財団へ寄贈を行い、同財団が管理運営する東京都美術館が活用します。
東京都美術館では、一般から公募したアート・コミュニケータ*2と共同で、親子や障がいのある方を対象にした鑑賞ワークショップなどを年に2~4回行うことを予定しています。
「綴プロジェクト」とは、オリジナル文化財の保存と複製品の活用を目的として、京都文化協会が主催し、キヤノンが共催して推進している社会貢献活動です。キヤノンの入力、画像処理、出力に至る先進のデジタルイメージング技術と、京都伝統工芸の匠の技との融合により、屏風や襖絵、絵巻物など古くから日本に伝わる貴重な文化財の高精細な複製品を制作・寄贈しています。2007年からスタートした本プロジェクトでは、「海外に渡った日本の文化財」、「歴史をひもとく文化財」の2つのテーマのもと、毎年文化財を選定し、昨年までに全21作品を制作しました。
入力 |
高精細デジタルデータの取得文化財の原寸大出力が可能な高画質データの取得には、デジタル一眼レフカメラを使用。専用に開発した旋回台を用いて多分割撮影を行い、合成して高精細デジタルデータに仕上げます。 |
色合わせ |
高精度なカラーマッチング取得された高精細デジタルデータを、キヤノン独自のカラーマッチングシステムを用い撮影環境の照明と合わせて画像処理し、その場で出力し色合わせを行います。色合わせの労力と文化財への負担を軽減しました。 |
出力 |
世界最高レベルのプリンティング技術日本画の繊細な濃淡、陰影が生み出す立体感の表現を大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF」が可能にしました。使用する和紙や絹本は独自に研究開発され、文化財の出力および金箔加工などに最適化されています。 |
金箔・金泥・雲母 |
古来より伝承される伝統工芸の技により再現日本文化財の最大の特徴となっている「金箔(きんぱく)・金泥(きんでい)・雲母(きら)」は京都西陣の伝統工芸士が熟練の手技を振るいます。 |
表装 |
京で鍛えられた確かな技術作品は、京都の表具士により表装がなされます。日本独自の表具類を用い、屏風であれば金具の古色や裏面の切地まで、襖であれば建物への設えまでオリジナル文化財に近い姿で忠実に再現され、完成します。 |
作品名 | 員数 | 作者名 | 時代 | 寄贈先 |
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六曲一双 | 伝 |
江戸時代 | 公益財団法人東京都歴史文化財団 (東京都墨田区) |
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六曲一双 | 江戸時代 | 公益財団法人東京都歴史文化財団 (東京都墨田区) |
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「竹林七賢図」 |
襖五十面のうち 十六面 |
安土桃山時代 | 大本山 建仁寺 (京都府京都市) |
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「山水図」 |
襖五十面のうち 四面 |
安土桃山時代 | 大本山 建仁寺 (京都府京都市) |