ニュースリリース

2012年11月20日
特定非営利活動法人 京都文化協会
キヤノン株式会社

「綴(つづり)プロジェクト」第6期作品
重要文化財「建仁寺けんにんじ方丈障壁画ほうじょうしょうへきが」14面の奉納

特定非営利活動法人 京都文化協会(以下 京都文化協会)ならびにキヤノン株式会社(以下 キヤノン)が取り組んでいる「綴プロジェクト」(正式名称:文化財未来継承プロジェクト)の第6期の作品のうち、1作品が完成し、オリジナルの文化財を所有している所蔵元へ奉納します。

建仁寺方丈障壁画 「琴棋書画図」 安土桃山時代 海北友松筆

建仁寺方丈障壁画 「琴棋書画図」 安土桃山時代 海北友松筆

「建仁寺方丈障壁画」全50面の高精細複製品が完成

建仁寺方丈障壁画の高精細複製品の制作は2008年3月に開始した「綴プロジェクト」第2期から始まっており、第5期までに全50面のうち、36面が建仁寺へ既に寄贈されています。このたび、2012年4月に開始した第6期の作品として、「琴棋書画図きんきしょがず(10面)」および「山水図(4面)」(いずれも海北友松かいほうゆうしょう筆)を完成させ、建仁寺に奉納します。
今回の奉納により、建仁寺方丈障壁画50面の全ての高精細複製品が揃うことになります。建仁寺では、2014年に建仁寺の開祖である栄西禅師ようさいぜんじが亡くなってから800年を迎えることから八百年大遠諱だいおんき*事業を予定しており、方丈障壁画の複製品制作は、同事業の一環として実施されました。今後は、50面の作品の全てが常設で一般公開されます。

  • 禅の礎を築いた栄西禅師への報恩感謝と禅の未来を願う法要

「綴プロジェクト」は公益財団法人企業メセナ協議会が主催する「メセナ アワード2012」(第22回)において、メセナ大賞部門「歴史をひもとく賞」を受賞しています。

「綴プロジェクト」では、今後も芸術を通した社会や文化の発展に貢献していきます。

「綴プロジェクト」概要

「綴プロジェクト」とは、オリジナル文化財の保存と複製品の活用を目的として、京都文化協会が主催し、キヤノンが共催して推進している社会貢献活動です。キヤノンの入力、画像処理、出力に至る先進のデジタルイメージング技術と、京都伝統工芸の匠の技との融合により、屏風や襖絵、絵巻物など古くから日本に伝わる貴重な文化財の高精細な複製品を制作し、寄贈しています。2007年からスタートした本プロジェクトでは、「海外に渡った日本の文化財」、「歴史をひもとく文化財」の2つのテーマのもと、毎年文化財を選定し、今回の作品を含め、現在までに全25作品を制作しています。

入力

高精細デジタルデータの取得

文化財の原寸大出力が可能な高画質データの取得には、デジタル一眼レフカメラを使用。専用に開発した旋回台を用いて多分割撮影を行い、合成して高精細デジタルデータに仕上げます。

色合わせ

高精度なカラーマッチング

取得された高精細デジタルデータを、キヤノン独自のカラーマッチングシステムを用い撮影環境の照明と合わせて画像処理し、その場で出力し色合わせを行います。色合わせの労力と文化財への負担を軽減しました。

出力

世界最高レベルのプリンティング技術

日本画の繊細な濃淡、陰影が生み出す立体感の表現を大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF」が可能にしました。使用する和紙や絹本は独自に研究開発され、文化財の出力および金箔加工などに最適化されています。

金箔・金泥・雲母

古来より伝承される伝統工芸の技により再現

日本文化財の最大の特徴となっている「金箔(きんぱく)・金泥(きんでい)・雲母(きら)」は京都西陣の伝統工芸士が熟練の手技を振るいます。
箔の経年変化の再現には、独自の「古色」の技法が用いられます。

表装

京で鍛えられた確かな技術

作品は、京都の表具士により表装がなされます。日本独自の表具類を用い、屏風であれば金具の古色や裏面の切地まで、襖であれば建物への設えまでオリジナル文化財に近い姿で忠実に再現され、完成します。

以上