キヤノンの「CMOSセンサーのシェーディング低減技術(特許第3467013号)」が、公益社団法人 発明協会が主催する「平成24年度関東地方発明表彰」において、「日本弁理士会会長奨励賞」を受賞しました。
発明協会では、その発明が地域産業にいかに貢献しているかという観点から、全国を8 地方(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州)に分け、それぞれの地方から生まれた優れた発明を行った技術者・研究開発者を顕彰することで発明の奨励・育成を図り、我が国の科学技術の向上と産業の振興に寄与することを目的とする地方発明表彰を定めています。
このたび、デジタルカメラのキーコンポーネントであるCMOSセンサーによる撮影画像の画質向上技術を実現した発明の功績を認められ、「平成24 年度関東地方発明表彰」において、発明者が「日本弁理士会会長奨励賞」、実施者が「実施功績賞」を受賞しました。
高画質への要求が日々高まるデジタルカメラの分野では、撮像面積が大きいCMOSセンサーの搭載が求められています。こうした要求に応えるための開発の過程で、撮像画面を大面積化すると画像の周辺部が中心部に比べて暗くなるシェーディングと呼ばれる現象が生じることが判明しました。このシェーディングが大きなノイズ成分となるため、これを解決することが、撮像面積が大きいCMOSセンサーをデジタルカメラに搭載するための課題となっていました。
そこで、CMOSセンサーの画像領域における基準電圧供給のための構造を工夫し、撮像画面内に発生するシェーディングを抑制することが可能となり、撮影画像の画質向上(2012年6月発売の「EOS-1D X」において常用ISO感度51200を実現)と約30倍*の撮像画面の大面積化の両立を実現しました。
本発明の技術を採用したCMOS センサーは、デジタル一眼レフカメラ「EOS D30」(2000年10月発売)に初めて搭載された後、キヤノンのデジタル一眼レフカメラ全機種に搭載されています。近年では、デジタル一眼レフカメラのみならず、数機種のコンパクトデジタルカメラやミラーレスカメラ、HD対応デジタルビデオカメラのほぼ全ての機種でも本発明の技術が採用されており、映像文化の発展に大きく寄与し、ユーザーからの高い支持を得ています。