ニュースリリース

2012年10月4日
キヤノン株式会社

「綴プロジェクト」が「メセナ アワード2012」において「歴史をひもとく賞」を受賞

キヤノン株式会社(以下 キヤノン)が、特定非営利活動法人 京都文化協会(以下 京都文化協会)と共同で取り組んでいる「綴プロジェクト」(正式名称「文化財未来継承プロジェクト」)が、公益社団法人企業メセナ協議会(以下 企業メセナ協議会)が主催する「メセナ アワード2012」(第22回)においてメセナ大賞部門「歴史をひもとく賞」を受賞しました。

「群鶴図屏風」 六曲一双 江戸時代 尾形光琳筆

「メセナ アワード」は企業メセナ協議会が、文化的に豊かな社会、地域づくりに対する一般の関心を高め、そのために活動する企業への理解を深めてもらうことを目的に、芸術文化の振興に高く貢献した企業や企業財団を表彰するもので、1991年に開始し、今年で22回目を迎えます。

このたび、メセナ大賞部門(メセナ大賞1件、メセナ賞5件)および文化庁長官賞部門(1件)に対する108件の応募の中から、キヤノンと京都文化協会が共同で取り組んでいる「綴プロジェクト」が、メセナ賞の「歴史をひもとく賞」を受賞しました。

「綴プロジェクト」とは、オリジナル文化財の保存と複製品の活用を目的として、2007年からキヤノンおよび京都文化協会が推進している社会貢献活動です。キヤノンの持つ入力から画像処理、出力に至るまでの先進のデジタルイメージング技術と、京都伝統工芸の匠の技との融合により、屏風や襖絵、絵巻物など古くから日本に伝わる貴重な文化財の高精細な複製品を制作し、寄贈を行っています。現在までに制作した作品は全24作品です。

今回の受賞は、本プロジェクトが「海外に渡った作品や、国内でも鑑賞機会が限られる日本の貴重な文化財の高精細複製品を制作することにより、先進の技術の活用と伝統技術の継承・研究を進めるとともに、作品にゆかりのある地などにおいて鑑賞機会を提供し、教育普及にも役立てるなど、芸術文化の普及・向上に貢献している」として評価されたものです。

キヤノンはこれからも技術を活かした社会貢献活動を推進していきます。

「綴プロジェクト」概要

入力

高精細デジタルデータの取得

文化財の原寸大出力が可能な高画質データの取得には、デジタル一眼レフカメラを使用。専用に開発した旋回台を用いて多分割撮影を行い、合成して高精細デジタルデータに仕上げます。

色合わせ

高精度なカラーマッチング

取得された高精細デジタルデータを、キヤノン独自のカラーマッチングシステムを用い撮影環境の照明と合わせて画像処理し、その場で出力し色合わせを行います。色合わせの労力と文化財への負担を軽減しました。

出力

世界最高レベルのプリンティング技術

日本画の繊細な濃淡、陰影が生み出す立体感の表現を大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF」が可能にしました。使用する和紙や絹本は独自に研究開発され、文化財の出力および金箔加工などに最適化されています。

金箔・金泥・雲母

古来より伝承される伝統工芸の技により再現

日本文化財の最大の特徴となっている「金箔(きんぱく)・金泥(きんでい)・雲母(きら)」は京都西陣の伝統工芸士が熟練の手技を振るいます。
箔の経年変化の再現には、独自の「古色」の技法が用いられます。

表装

京で鍛えられた確かな技術

作品は、京都の表具士により表装がなされます。日本独自の表具類を用い、屏風であれば金具の古色や裏面の切地まで、襖であれば建物への設えまでオリジナル文化財に近い姿で忠実に再現され、完成します。