ニュースリリース

2013年2月28日
特定非営利活動法人 京都文化協会
キヤノン株式会社

「綴プロジェクト」第6期作品の仙台市博物館への寄贈と
展覧会「若冲が来てくれました - プライスコレクション」での公開について

特定非営利活動法人 京都文化協会(以下 京都文化協会)とキヤノン株式会社(以下 キヤノン)が取り組んでいる「綴プロジェクト」(正式名称:文化財未来継承プロジェクト)の第6期2作品目*長沢芦雪ながさわろせつ筆 「白象黒牛図屏風はくぞうこくぎゅうずびょうぶ」の高精細複製品を仙台市博物館に寄贈、公開します。 また、この作品と原画の両方が展示される展覧会「若冲が来てくれました-プライスコレクション」にキヤノンは特別協賛しています。

「白象黒牛図屏風」 六曲一双 江戸時代 長沢芦雪筆(高精細複製品)

「白象黒牛図屏風」 六曲一双 江戸時代 長沢芦雪筆(高精細複製品)

「白象黒牛図屏風」の高精細複製品が完成

「白象黒牛図屏風」は六曲一双の屏風で、江戸時代中期に長沢芦雪によって描かれた作品のうちの一つです。
そのオリジナル作品は、伊藤若冲の作品を中心とした日本画の世界的コレクターである、アメリカ在住のジョー・プライス氏が所有しています。「綴プロジェクト」第6期では、日本ではなかなか見ることのできない「白象黒牛図屏風」の高精細複製品を制作し、仙台市博物館(仙台市)に寄贈することでより多くの方々に作品をご鑑賞いただく機会を提供します。

展覧会「若冲が来てくれました-プライスコレクション」への特別協賛

この展覧会は、2011年3月に発生した東日本大震災の現状を目の当たりにしたジョー・プライス氏が、伊藤若冲を始め江戸時代を代表する画家の作品を通じて、被災地の方々に元気を与えたいという想いをこめて開催するものです。
本展覧会は東北の方々だけでなく、関東を始め全国から多くの方々を呼び込むことで被災地を応援することを目的としており、その趣旨に賛同したキヤノンが特別協賛しています。
会期中は、「白象黒牛図屏風」のオリジナル作品と「綴プロジェクト」で制作した高精細複製品の両方が展示されます。 「綴プロジェクト」で制作した高精細複製品はその特長を活かし、展示のみならずワークショップやセミナー、特別観賞会などでの活用が予定されています。

「綴プロジェクト」では、今後も芸術を通した社会や文化の発展に貢献していきます。

  • 第6期1作品目は重要文化財「建仁寺けんにんじ方丈障壁画ほうじょうしょうへきが」 14面で、2012年11月にオリジナルの文化財を所蔵している建仁寺に奉納。

展覧会開催概要

名    称 : 東日本大震災復興支援 特別展 
「若冲が来てくれました―プライスコレクション 江戸絵画の美と生命―」
開催日程・場所: 2013年3月1日(金)~5月6日(月・振休) 仙台市博物館
2013年5月18日(土)~7月15日(月・祝) 岩手県立美術館
2013年7月27日(土)~9月23日(月・祝) 福島県立美術館
公式ホームページ: http://jakuchu.exhn.jp

「綴プロジェクト」概要

「綴プロジェクト」とは、オリジナル文化財の保存と高精細複製品の活用を目的として、京都文化協会が主催し、キヤノンが共催して推進している社会貢献活動です。キヤノンの入力、画像処理、出力に至る先進のデジタルイメージング技術と、京都伝統工芸の匠の技との融合により、屏風や襖絵、絵巻物など古くから日本に伝わる貴重な文化財の高精細な複製品を制作し、寄贈しています。2007年からスタートした本プロジェクトでは、「海外に渡った日本の文化財」「歴史をひもとく文化財」の2つのテーマのもと、毎年文化財を選定し、今回の作品を含め現在までに全26作品を制作しています。

入力

高精細デジタルデータの取得

文化財の原寸大出力が可能な高画質データの取得には、デジタル一眼レフカメラを使用。専用に開発した旋回台を用いて多分割撮影を行い、合成して高精細デジタルデータに仕上げます。

色合わせ

高精度なカラーマッチング

取得された高精細デジタルデータを、キヤノン独自のカラーマッチングシステムを用い撮影環境の照明と合わせて画像処理し、その場で出力し色合わせを行います。色合わせの労力と文化財への負担を軽減しました。

出力

世界最高レベルのプリンティング技術

日本画の繊細な濃淡、陰影が生み出す立体感の表現を大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF」が可能にしました。使用する和紙や絹本は独自に研究開発され、文化財の出力および金箔加工などに最適化されています。

金箔・金泥・雲母

古来より伝承される伝統工芸の技により再現

日本文化財の最大の特徴となっている「金箔(きんぱく)・金泥(きんでい)・雲母(きら)」は京都西陣の伝統工芸士が熟練の手技を振るいます。
箔の経年変化の再現には、独自の「古色」の技法が用いられます。

表装

京で鍛えられた確かな技術

作品は、京都の表具士により表装がなされます。日本独自の表具類を用い、屏風であれば金具の古色や裏面の切地まで、襖であれば建物への設えまでオリジナル文化財に近い姿で忠実に再現され、完成します。

以上