キヤノンは、デジタル一眼レフカメラの革新的な撮像面位相差AF技術“デュアルピクセルCMOS AF”を新たに開発しました。全有効画素が撮像と位相差AFの機能を兼ね備えているCMOSセンサーを用いることで、ライブビュー撮影および動画撮影時のAF性能を飛躍的に向上させることができます。
デュアルピクセルCMOS AFのロゴ
近年、デジタル一眼レフカメラの機能や性能の進化により、ユーザーの撮影スタイルが多様化し、ファインダー撮影だけでなく、液晶モニターで映像を確認しながら撮影するライブビュー撮影および動画撮影を行う機会が増えてきています。
このたび、キヤノンが開発した“デュアルピクセルCMOS AF”は、全ての有効画素が撮像と位相差AFの機能を兼ね備えている新構造のCMOSセンサーを使用した、画期的な撮像面位相差AF 技術です。CMOSセンサーのひとつひとつの画素(画像信号を出力できる構造の最小単位)が、独立した2 つのフォトダイオード(光を電気信号に変換する素子)で構成されており、撮像と位相差AF の両方に利用できる信号出力を可能にしています。この技術は、ライブビュー撮影時に広い測距エリア※1で、ファインダー撮影時と同様に最終合焦まで位相差AF※2が可能なため、従来のキヤノンの撮像面位相差AF※3に比べて、「より短い合焦時間」「動く被写体に対する優れた追従性」「動画撮影時の滑らかなAF動作」を実現します。これにより、ユーザーはファインダー撮影に近い感覚でライブビュー撮影を行い、高速かつスムーズなピント合わせで被写体や構図に集中して撮影を楽しむことができるようになります。
たとえば、このAF技術を初めて採用した「EOS 70D」(2013年8月29日発売予定)では、「ハイブリッドCMOS AF II」を採用している「EOS Kiss X7」と比べた場合、合焦速度は約30%高速化※4を達成しているほか、動画サーボAFの追従性も向上しているため、動きの速い被写体に対しても滑らかにピントを合わせ続けながら動画撮影ができます。これらの優れた特長は、103本(旧モデルおよび海外モデルを含む)※5のEFレンズで発揮することが可能であり、撮影者はさまざまなレンズを活用した作品づくりを楽しむことができます。
この技術はさまざまなカテゴリーの製品への展開など多くの可能性を持つことから、キヤノンは今後さらに開発を推し進め、AF技術をより一層進化させることで撮影領域の拡大に貢献していきます。
撮影レンズから入った光束を2つに分け、AF専用センサー上に結像した2つの像の間隔からピントのズレを計測し、レンズの駆動方向や駆動量を算出してピントを合わせます。コントラストAFに比べて高速なピント合わせが可能であり、主にデジタル一眼レフカメラにおけるファインダー撮影用に採用されています。
なお、“デュアルピクセルCMOS AF”では、撮像面で同じ原理の位相差AFを実現するために、位相差AF用の信号出力が可能な撮像素子を開発し、 最終合焦まで撮像面位相差AFによるピント合わせを可能にしています。
コンパクトデジタルカメラやビデオカメラ、また、デジタル一眼レフカメラのライブビュー撮影において多く見られるAF方式です。ピントが合っている部分はコントラスト(明暗差)が高くなるという性質を用い、撮像素子から得た画像のコントラスト情報を解析し、コントラスト値が最も高くなるように撮影レンズを駆動してピントを合わせます。
この方式は、AF精度は高いものの、コントラストのピークを探して撮影レンズを駆動させる必要があるため、位相差AFに比べて、合焦までの時間がかかりやすい傾向にあります。
ライブビュー撮影や動画撮影時での快適性を高める目的で、キヤノンのEOS KissシリーズやEOS Mに採用しているAF方式です。ピント合わせの速い位相差AFと、より精度の高いコントラストAFを組み合わせた方式で、ライブビュー撮影時および動画撮影時に使用されるAFです。 コントラストAFを併用してCMOSセンサー(撮像面)に組み込まれた位相差AF専用の画素による測距を素早く行い、最終的にコントラストAFによって正確にピントを合わせることで、ピント合わせの高速化を実現しています。「EOS Kiss X7」に搭載した「ハイブリッドCMOS AF II」では、撮像画面の縦横それぞれ約80%という広いエリアにおいてAFを可能にしています。