ニュースリリース

2013年5月21日
特定非営利活動法人 京都文化協会
キヤノン株式会社

「綴プロジェクト」第6期作品を寄贈
重要文化財 臨済宗妙心寺派 天球院の方丈障壁画「竹に虎図襖」など計8面

特定非営利活動法人 京都文化協会(以下 京都文化協会)とキヤノン株式会社(以下 キヤノン)が共同で取り組んでいる「綴プロジェクト(正式名称:文化財未来継承プロジェクト)」の第6期3作品目※1として、天球院方丈障壁画8面の高精細複製品を同寺へ寄贈します。

  • ※1第6期1作品目は2012年11月に重要文化財「建仁寺けんにんじ方丈障壁画ほうじょうしょうへきが」 14面の高精細複製品を建仁寺へ奉納。2作品目は2013年2月に「白象黒牛図屏風」の高精細複製品を仙台市博物館へ寄贈。
狩野山楽・山雪筆「竹に虎図襖」 江戸時代

狩野山楽・山雪筆「竹に虎図襖」 江戸時代

重要文化財 天球院方丈障壁画のうち金地着色襖※2全56面の高精細複製品を4年間で制作

  • ※2金箔が貼られ、その上に絵が描かれている襖(金箔襖)。

臨済宗妙心寺派 天球院の「方丈障壁画」は国の重要文化財に指定されています。オリジナル文化財の歴史的・文化的な価値と、経年劣化や災害などによる損失の可能性を考慮し、「綴プロジェクト」では4年に渡って金地着色襖56面の高精細複製品を制作することを決定しました。このたび、その最初の作品として、56面の内、狩野山楽・山雪筆の「竹に虎図襖」4面と「まがきに草花図襖のうち朝顔図襖」4面の高精細複製品を完成させ、天球院に寄贈します。寄贈後、オリジナル文化財は京都国立博物館に寄託され、良好な環境下で保管されることにより、日本の貴重な文化財の未来への継承が可能になります。

通常は非公開の臨済宗妙心寺派 天球院を期間限定で一般公開

臨済宗妙心寺派 天球院は、文化財の保護などの理由から、通常は一般公開を行っていません。しかし、オリジナル文化財を「綴プロジェクト」の活動により高精細複製品に置き換えることで、今年以降、毎年2回、各2週間の一般公開が可能となりました。天球院の一般公開は、平成16年以来、初めてとなり、5月25日から始まる一般公開期間中は、「綴プロジェクト」で制作した8面の高精細複製品と、複製品の制作が予定されているオリジナル文化財の両方を鑑賞することができます。

臨済宗妙心寺派 天球院 2013年の1回目の特別公開について

公開期間:
2013年5月25日(土)~6月9日(日) 10:00~15:00   ※入門は14:30まで
場  所:
臨済宗妙心寺派 天球院(京都市右京区花園妙心寺町46)

「綴プロジェクト」では、今後も芸術を通した社会や文化の発展に貢献していきます。

「綴プロジェクト」概要

入力

高精細デジタルデータの取得

文化財の原寸大出力が可能な高画質データの取得には、デジタル一眼レフカメラを使用。専用に開発した旋回台を用いて多分割撮影を行い、合成して高精細デジタルデータに仕上げます。

色合わせ

高精度なカラーマッチング

取得された高精細デジタルデータを、キヤノン独自のカラーマッチングシステムを用い撮影環境の照明と合わせて画像処理し、その場で出力し色合わせを行います。色合わせの労力と文化財への負担を軽減しました。

出力

世界最高レベルのプリンティング技術

日本画の繊細な濃淡、陰影が生み出す立体感の表現を大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF」が可能にしました。使用する和紙や絹本は独自に研究開発され、文化財の出力および金箔加工などに最適化されています。

金箔・金泥・雲母

古来より伝承される伝統工芸の技により再現

日本文化財の最大の特徴となっている「金箔(きんぱく)・金泥(きんでい)・雲母(きら)」は京都西陣の伝統工芸士が熟練の手技を振るいます。
箔の経年変化の再現には、独自の「古色」の技法が用いられます。

表装

京で鍛えられた確かな技術

作品は、京都の表具士により表装がなされます。日本独自の表具類を用い、屏風であれば金具の古色や裏面の切地まで、襖であれば建物への設えまでオリジナル文化財に近い姿で忠実に再現され、完成します。

「綴プロジェクト」第6 期の寄贈作品一覧

作品名 員数 作者名 時代 寄贈先
琴棋書画図襖 10面 海北友松 安土桃山時代 大本山 建仁寺
山水図襖 4面 海北友松 安土桃山時代 大本山 建仁寺
白象黒牛図屏風 六曲一双 長沢芦雪 江戸時代 仙台市博物館
虎に竹図襖 4面 狩野山楽・山雪 江戸時代 臨済宗妙心寺派
天球院
籬に草花図襖のうち朝顔図襖 4面 狩野山楽・山雪 江戸時代 臨済宗妙心寺派
天球院

以上