キヤノン株式会社(以下、キヤノン)の玉川事業所(所在地:神奈川県川崎市)の試験施設が、「培養細胞を用いる小核実験」について化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(以下、化審法)のGLP※適合施設認証を、国内で初めて厚生労働省より取得しました。これにより、同施設における試験結果は、化審法GLPに則った公平かつ公正なものとして認められます。
キヤノン玉川事業所の外観
小核試験の様子
「小核試験」とは、ある化学物質が発がんの要因となる染色体異常を起こす性質があるかどうかを調べ、その発がん性を予測する試験です。従来の染色体異常試験と比べ、試験時間が大幅に短縮されるため効率的であると同時に、培養したヒトの細胞を用いることが容易であるため、ヒトに対する発がん性予測の向上に寄与することが期待され、国際的に注目されています。また、2010年7月にはOECD(経済協力開発機構)によりテストガイドライン化され、国際的な標準試験として認められました。
キヤノンでは、インク、トナー、部材をはじめとする自社で取り扱う化学物質の安全確保に長い間取組んでおり、その一環として2002年より「培養細胞を用いる小核試験」の社内導入を準備してきました。導入時の課題として、OECDテストガイドラインでは実験方法の推奨、選択肢が例示されるのみであったことから、自社での使用目的に応じた適切な方法を自主選択し、試験結果の信頼性を保証する必要がありました。この課題を解決するため外部専門家の意見も積極的に取り入れながら実験法/評価法を確立した結果、厚生労働省の査察を経て、玉川事業所内にある試験施設が、国内で初めて化審法GLP適合施設認証を取得いたしました。
キヤノンは、今後も自社製品の高い品質、安全性の確保に努めてまいります。