ニュースリリース

2014年5月1日
キヤノン株式会社

キヤノンが「映像符号化技術HEVCの新規拡張規格」の国際標準化に貢献

キヤノンは、映像符号化国際標準のHEVC標準化の共同チーム「Joint Collaborative Team on Video Coding(以下、JCT-VC)」が2014年4月4日に完了した、「映像符号化国際標準HEVC※1の新規拡張規格」(以下、HEVCレンジ拡張)の標準化に、自社の技術力を生かして貢献しました。

  • ※1HEVCは、High Efficiency Video Codingの略です。

標準化団体であるISO※2、IEC※3ならびにITU※4は、2010年にHEVC標準化の共同チームJCT-VCを設立し、4K・8Kのような高精細な映像を効率的に伝送・蓄積するため情報量を圧縮する規格「HEVC」の標準化を2013年1月に完了しました。その後、「HEVCレンジ拡張」の標準化が進められ、2014年4月4日にISOおよびIECの下部組織であるMPEG※5により「ISO/IEC 23008-2 High Efficiency Video Coding第2版 最終国際規格案」として正式に承認されました。

  • ※2ISOは国際標準化機構(International Organization for Standardization)のことで、各国を代表する標準化機関で構成されます。
  • ※3IECは国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)のことで、電気・電子技術分野の国際標準化を行っています。
  • ※4ITUは国際電気通信連合(International Telecommunication Union)の電気通信標準化部門であり、通信関連の国際標準化を 行っています。
  • ※5MPEGはMoving Picture Experts Groupのことで、映像や音声の符号化関連の国際標準化を行っています。

「HEVCレンジ拡張」とは、映像撮影機器のハイエンドユーザーや映像制作現場に求められている高品質な映像の符号化(データ量の圧縮)を実現するために、忠実な色再現を可能にする10ビットを超える色深度や、きめ細やかな色表現が可能な4:2:2/4:4:4のカラーフォーマットをサポートする規格です。この規格の標準化により、4Kや8Kといった高精細な映像素材の撮影、編集、出力において、高い画質を維持したままの作業が可能になるため、今後、映画をはじめとする多様な映像制作や放送用コンテンツ制作など幅広い分野での利用が期待されています。

キヤノンは、「HEVC」では4:2:0のカラーフォーマットであった技術を拡張し、「HEVCレンジ拡張」における4:2:2/4:4:4のカラーフォーマットを実現させるために、拡張部分での圧縮率のさらなる向上と技術の実現しやすさを両立した複数の新技術を開発・提案し、その一部が最終的な「HEVCレンジ拡張」に採用される結果となりました。

さらに、これまでのキヤノンの積極的な活動が認められ、「HEVCレンジ拡張」標準化において、提案された技術の検証評価に関する議論の場において、検討グループの議長などを務め、検討の促進や議論の取りまとめを行いました。また、キヤノンの研究開発者が「ISO/IEC 23008-2 High Efficiency Video Coding 第2版」の標準規格書の編集の取りまとめを行う「エディタ」※6の一人としても選出され、標準規格書の完成度向上にも大きく貢献しました。

  • ※6「エディタ」は、国際標準規格文書の原案の作成や改訂、編集を行う責任者であり、国際標準化活動において重要な役割を果たしています。

キヤノンは、今後も映像技術の研究開発を進めて標準化活動に貢献し、関連事業への展開に積極的に取り組んでいきます。

ご参考

HEVCレンジ拡張の標準化に関する詳細情報は以下URLから確認できます。
http://mpeg.chiariglione.org/standards/mpeg-h/high-efficiency-video-coding