キヤノンは、撮影レンズ向けの光学素子となるBR(Blue Spectrum Refractive)光学素子を新たに開発しました。これにより、極めて高水準な色収差の補正が可能となり、優れた結像性能を実現します。
BR光学素子を採用した複合レンズ
BRレンズ断面とBR光学素子の原料 (有機光学材料)
今回、キヤノンが新たに開発したBR光学素子は、青色(短い波長域)の光を大きく屈折させる特徴を持っています。これにより、極めて高水準の色収差補正が可能となり、優れた結像性能を実現します。このたび、BR光学素子をガラスレンズで挟み合わせた複合レンズ「BRレンズ」を広角の大口径単焦点レンズ“EF35mm F1.4L II USM”(2015年10月発売予定)で初めて採用し、さらなる高画質を達成しています。
自然光(白色光)は、実際にはさまざまな波長(色)の光で構成されており、波長によってレンズを通過する際の屈折率が異なるため、結像面上の一点に集光しません。この光のずれが色のにじみとなって画像に現れるのが色収差です。
キヤノンは、これらの色のにじみを抑える理想の色収差補正を目指し、有機光学材料を分子構造設計から見直し、光学素子の開発を進めてきました。今回、これまで一点に集光することが特に困難だった青色(短い波長域)の光を大きく屈折させる、異常分散特性を持つBR光学素子の開発に成功しました。これにより、色収差を高度に補正する優れた結像性能を持ったレンズの開発が可能となります。
キヤノンは、特に結像性能の向上が求められるレンズにBRレンズを活用することで、より高画質なレンズを今後も提供し続けてまいります。