キヤノンの「CMOSセンサーのシェーディング低減技術の発明」(特許登録第3467013号)が、公益社団法人 発明協会が主催する「平成27年度全国発明表彰」において「日本経済団体連合会会長発明賞」を受賞しました。
このたびキヤノンは、デジタルカメラのキーデバイスであるCMOSセンサーに関する発明の功績が認められ、「平成27年度全国発明表彰」において、発明者が「日本経済団体連合会会長発明賞」を、実施者が「発明実施功績賞」※を受賞しました。公益社団法人 発明協会では、優れた発明を行った研究者・科学者を表彰することで発明の奨励・育成を図り、我が国の科学技術の向上と産業の発展に寄与することを目的とする発明表彰制度を定めています。
小泉 徹(キヤノン株式会社 デバイス開発本部 部長)
光地 哲伸(キヤノン株式会社 デバイス開発本部 室長)
米田 智也(元 キヤノン株式会社)
須川 成利(元 キヤノン株式会社)
御手洗 冨士夫(キヤノン株式会社 代表取締役会長兼社長 CEO)
大面積の撮像面をもつCMOSセンサーの開発に取り組んだところ、小さな撮像面のCMOSセンサーでは生じなかった画像のシェーディングを発見しました(図2左図)。
CMOSセンサーはCCDセンサーとは異なる画素回路を有しており、画素回路の動作に伴い余剰電荷が生じ、これがノイズ電荷となります。従来の小さな撮像面のCMOSセンサーでは、生じたノイズ電荷を、CMOSセンサーの撮像面の周囲に配されたノイズ電荷排出部を介して排出していましたが、大きな撮像面のCMOSセンサーにその方法を用いると、撮像面の中心にノイズ電荷が残留(図1上図)し、これが画像のシェーディングとして現れる(図2左図)ことが課題でした。
キヤノンは、CMOSセンサーの撮像面の周囲ではなく、撮像面内にある画素部分にノイズ電荷排出部を設けるという新しい試みにより、ノイズ電荷を高速で排出(図1下図)させ、画像のシェーディングを大幅に抑制することに成功しました(図2右図)。
本発明により、キヤノンは2000年に世界で初めてCMOSセンサーをデジタル一眼レフカメラに搭載し、多画素化や信号読み出し速度の高速化などを実現しました。また、現在では本発明の技術は、フルハイビジョンの動画撮影にも用いられており、コンシューマー用途のほか映画やテレビ番組など、幅広い分野の撮影に貢献しています。今後さらに、超新星爆発の瞬間など、科学技術分野の現象の撮影などにも貢献していくことが期待されています。
本発明非実施
本発明実施