ニュースリリース

2019年10月18日
キヤノン株式会社

「綴プロジェクト」が「メセナアワード2019」において特別賞「文化庁長官賞」を受賞

キヤノン株式会社(以下 キヤノン)が、特定非営利活動法人 京都文化協会(以下 京都文化協会)と共同で取り組んでいる「綴(つづり)プロジェクト」(正式名称「文化財未来継承プロジェクト」)が、公益社団法人 企業メセナ協議会(以下 企業メセナ協議会)が主催する「メセナアワード2019」において特別賞「文化庁長官賞」を受賞しました。

「メセナアワード」は、企業によるメセナ(芸術・文化振興による豊かな社会創造)の充実と社会からの関心を高めることを目的に、企業メセナ協議会により1991年に創設されました。以来、前年度に実施されたメセナ活動を対象に選考および表彰が行われています。

このたび、149件の対象案件の中から、大賞1件、優秀賞5件、特別賞1件が選考され、キヤノンと京都文化協会が共同で取り組んでいる「綴プロジェクト」が、特別賞「文化庁長官賞」を受賞しました。「綴プロジェクト」は過去にも、「メセナアワード2012」においてメセナ大賞部門「歴史をひもとく賞」を受賞しています。

デジタルカメラによる文化財の撮影

デジタルカメラによる文化財の撮影

高精細複製品を生かした文化体験

高精細複製品を生かした文化体験

今回の受賞では、「綴プロジェクト」が、独立行政法人国立文化財機構文化財活用センターとの共同研究プロジェクトを2018年に発足するなど、NPOや行政と連携し、幅広い層により深い文化体験ができる機会を創出していることや、技術力を進歩させ、時代の流れを捉えた活動の広がりと厚みにより、文化の発展に寄与していることが評価されました。
キヤノンはこれからも技術を生かした社会貢献活動を推進していきます。

なお、2019年11月20日(水)14:00より、東京・青山の「スパイラルホール」にて、贈呈式が開催される予定です。

【「綴プロジェクト」とは】

「綴プロジェクト」は、オリジナル文化財の保存と高精細複製品の活用を目的として、京都文化協会が主催し、キヤノンが共催して推進している社会貢献活動です。キヤノンの入力、画像処理、出力に至る先進のデジタル技術と、京都伝統工芸の匠(たくみ)の技との融合により、屏風や襖絵、絵巻物など古くから日本に伝わる貴重な文化財の高精細な複製品を制作して寄贈しています。2018年の第11期作品より、複製品の制作過程で使用するカメラやレンズなどの機材を刷新し、これまで以上に高精細な複製品を実現しています。
2007年からスタートした本プロジェクトは、海外に渡る以前の所有者などに寄贈する「海外に渡った日本の文化財」と、小・中学校の教科書に掲載の多い文化財などを対象に、教育現場で生きた教材として活用する「歴史をひもとく文化財」の2つのテーマのもと、毎年文化財を選定しています。今回制作した作品を含め、現在までに全51作品を寄贈しました。

  • 第11期作品より、制作で使用したカメラは「EOS 5D Mark IV」、レンズは「EF400mm F2.8L IS II USM」に変更。
    第12期作品より、大判プリンターも「imagePROGRAF PRO-4000」に変更。

入力

高精細デジタルデータの取得

文化財の原寸大出力が可能な高画質データの取得には、デジタル一眼レフカメラを使用。専用に開発した旋回台を用いて多分割撮影を行い、合成して高精細デジタルデータに仕上げます。

色合わせ

高精度なカラーマッチング

取得された高精細デジタルデータを、キヤノン独自のカラーマッチングシステムを用い撮影環境の照明と合わせて画像処理し、その場で出力し色合わせを行います。色合わせの労力と文化財への負担を軽減しました。

出力

世界最高レベルのプリンティング技術

日本画の繊細な濃淡、陰影が生み出す立体感の表現を大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF」が可能にしました。使用する和紙や絹本は独自に研究開発され、文化財の出力および金箔加工などに最適化されています。

金箔・金泥・雲母

古来より伝承される伝統工芸の技により再現

日本文化財の最大の特徴となっている「金箔(きんぱく)・金泥(きんでい)・雲母(きら)」は京都西陣の伝統工芸士が熟練の手技を振るいます。
箔の経年変化の再現には、独自の「古色」の技法が用いられます。

表装

京で鍛えられた確かな技術

作品は、京都の表具士により表装がなされます。日本独自の表具類を用い、屏風であれば金具の古色や裏面の切地まで、襖であれば建物への設えまでオリジナル文化財に近い姿で忠実に再現され、完成します。

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