テクノロジー

商品を支える技術開発・設計プラットフォーム

  • 開発期間の短縮や高品質な製品の提供を可能にする技術基盤
  • ノウハウや技術をシミュレーションとして蓄積し、全社で全製品に活用

2025年8月25日

開発・設計プラットフォームとは

「開発・設計プラットフォーム」とは、キヤノンがこれまで培ってきた技術やノウハウ、たとえば、紙のしなりやうねり、トナー1粒1粒の溶け方、カメラ落下時の衝撃などの物理現象をミクロからマクロまでをシミュレーションで再現し検証したものを蓄積し、全社ですべての製品に活用できるようにしたキヤノンの技術基盤です。
従来の製品開発では、CAD(Computer Aided Design)で設計した図面にもとづき、いくつもの試作機をつくり、実験や検証をくり返してきました。しかし、開発の進行段階によってつくる試作機は異なり、しかも何台もつくる必要があるため膨大なコストがかかり、開発期間も長くなるといった課題がありました。開発・設計プラットフォームに蓄積されたシミュレーション技術は、開発者の誰もが自由に使うことができるため、新製品開発の初期段階から精度の確認や問題の解決が図られ、短時間かつ低コストで開発できることが強みです。
また、物理的な試作品を減らすことで、開発時の資源削減に加え、オフィス向け複合機の紙搬送経路の最適化や熱のムダの可視化で製品の小型・軽量化や省電力化を実現し、製品輸送時やお客さま使用時の環境負荷を低減しています。


多彩な製品群を支える開発・設計プラットフォーム

活用事例:
温度・気流の変化を予測するフラットパネルディスプレイ露光装置におけるシミュレーション技術

熱気流シミュレーションは、製品・装置内の温度や気流の変化を予測する技術です。
フラットパネルディスプレイを製造する装置の開発では、ガラス基板を移動させるための装置であるステージを、装置内で秒速1mという速いスピードで移動させながらガラス基板に回路を焼き付けていくため、微細な回路形成のためにはステージの位置合わせが非常に重要となります。しかし、位置決めを担うレーザー測長部付近の空気の温度が変化すると、空気の屈折率が変化して測長誤差が生まれるため、露光精度に影響することが問題になっていました。
そこで、オフィス向け複合機で培われた熱気流のシミュレーションを設計段階で活用することにより、測長部付近の温度変化を極限まで小さくすることが可能となり、高精度な露光装置の開発を実現しています。


※距離や変位を正確に計測する部分


オフィス向け複合機で培われた熱気流のシミュレーションをフラットパネルディスプレイ露光装置の開発に活用

活用事例:
品質を高める複合機の搬送ユニットのシミュレーション技術

オフィス向け複合機の開発では、社内で開発したCADの3DデータをCAE(Computer Aided Engineering)モデルに自動的に変換する技術を活用し、CADの3DデータからCAEモデルを自動生成。さらに自社開発のソフトウエアを使い、紙搬送ユニットの動きをバーチャルに再現しています。
コンピューター内の仮想環境で、紙の給紙から排出するまでの様子をシミュレーションで詳細に確認できるため、高額な試作機をつくることなく、高品質な製品を短期間で開発しています。
さまざまな検証を仮想環境でできるようになり、実際の試作機では小さかったり、隠れた場所にあって見えなかった部分が確認できたり、さらには、試作機を1台しかつくらない場合には限界があった検証実験も、ほぼすべてを実施できるようになり、製品の品質を確実に高められています。


複合機内部の紙送りのシミュレーション

関連リンク


技術紹介PDF「キヤノンフロンティア」

テクノロジー

採用