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キヤノンの研究開発

テクノロジーが社会に与える影響はますます大きくなり、進化のスピードも加速しています。キヤノンの研究開発は、時代の変化に迅速に対応し、最先端のイノベーションを生み出し続け、キヤノンは人類・社会に貢献していきます。

キヤノンも時代も、まさに変革期

キヤノンも、社会も大きな転換期を迎えています。キヤノンが主力事業としていたカメラやプリンターなどの市場縮小が続くいま、次の成長に向け、大きな変革に挑戦しています。世界的にもテクノロジーは変革期にあり、時代は発明中心の研究開発から社会課題解決型のイノベーションへの転換、いわゆるパラダイムシフトが起こっています。

人類社会は、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、産業革命後の工業社会(Society 3.0)、そして20世紀後半からの情報社会(Society 4.0)へと発展を遂げてきました。そして、AIやIoT、ロボット、ビッグデータなどの革新技術をあらゆる産業が取り入れ、さまざまな社会課題を解決する未来社会「Society 5.0」にいよいよ足を踏み入れようとしています。
工業社会、情報社会の時代の研究開発は、技術のシーズ(芽)を見つけ出し、じっくりと育てた「発明」が百花繚乱で、次々と画期的製品を生み出し、生活を豊かに、便利にし、社会を変えていきました。しかし、いまはグローバリゼーションの進展により、多くの社会課題が顕在化し、技術がそれに応える時代となっています。言い換えれば、社会課題が技術を要求する時代になり、シーズを育てる「発明型」だけでは効率的な研究開発ができなくなっています。キヤノンでも、M&Aなどを使って即効性のあるイノベーションを生み出すやり方を取り入れ、社会課題にスピーディーに応える「イノベーション型」研究開発を加速させています。

一方、人類進化に必要な「発明型」の研究開発は、宇宙、海洋、生命科学など、大型で国家レベル規模となり、長い期間が必要です。キヤノンでは、こうした研究開発は、他社とのアライアンス、産学連携、オープンイノベーションによって取り組んでいます。

基盤要素技術とコアコンピタンス技術の組み合わせで事業を創出

キヤノンは創業当時から、事業のベースとなり、応用・転用が可能な「基盤要素技術」と、事業に直接つながる「コアコンピタンス技術(以下、コア技術)」をしっかりと認識して、多様に組み合わせることで、製品・サービスの多角化を行ってきました。カメラ、ネットワーク複合機、インクジェットプリンター、レーザープリンター、光学機器という既存の5本柱の事業もその例外ではありません。加えて、最近ではメディカルシステム、ネットワークカメラ、商業印刷、産業機器という4本柱の新規事業でも、グループに新たに加わったコア技術に従来からある基盤要素技術を注入し、競争力を高めています。

コア技術のいくつかは、研究開発を重ね、基盤要素技術へと変貌を遂げています。例えば、トナーなど機能性材料はかつて複写機のコア技術でした。現在では、粉体・合成の材料技術、化学反応の計測・分析技術という基盤要素技術となって、他事業の差別化要素の開発に役立っています。

また、キヤノンの大きな強みのイメージング領域では、レンズやセンサー、映像・画像処理技術という圧倒的なコア技術がカメラの優位性を生み出す一方で、光学、電子、情報処理という基盤要素技術となって他事業に生かされています。

新規事業の一つ、ネットワークカメラはキヤノンがもつコア技術で進化し、専業のグループ会社アクシスだけではできなかったソリューションも実現しています。事業の創出は研究開発だけではできません。社会に必要とされる価値を生み出す「知的財産」「品質」「デザイン」「バリューエンジニアリング」「プロジェクトマネジメント」「仮想設計」といった価値創造基盤技術の充実はキヤノンの大きな強みとなっています。

サイバー&フィジカルの結合でイノベーションを

キヤノンではいま、効率的な研究開発のために、基盤要素技術の深化と将来の事業に必要な技術の研究開発を本社R&D部門が、コア技術を事業部開発部門が開発するという研究開発体制を敷いています。お互いに十分連携をとりながら、画期的なイノベーションを作り出すために頑張っています。
誰もやったことのないことを発見、法則化、体系化する「発明」に対し、課題から解を作り出して社会に貢献するのが「イノベーション」です。サイバー(仮想)空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合する「Society 5.0」では、現実空間で得られた膨大なビッグデータを仮想空間でAIが解析し、再び現実社会で自動ロボットを制御することなどが想定されています。
キヤノンでもAI、ディープラーニングの開発をすすめていますが、世界にはこれらに特化して先行している企業や研究機関があります。フィジカルの技術に強いキヤノンは、基盤要素技術・コア技術を組み合わせた強い技術を中軸におきつつ、高度なサイバー技術をアライアンスやオープンイノベーションを活用して取り込み、一歩先を行くソリューションを提供していきます。

ものづくり、ことづくりは、すべて人から

キヤノンという会社はどの事業にいてもキヤノンがもつ基盤要素技術やコア技術・ノウハウを自在に、存分に、いつでも使える会社です。それができるのは、強みとノウハウの形式知化、「試作レス」と称しているフルシミュレーション技術がすすんでいることにあります。このキヤノンの強みをフル活用して、人材を結合することで、幅広い基盤要素技術とコア技術を組み合わせたまったく新たな事業を育成できると確信しています。

人がいてこそのものづくり、ことづくりです。キヤノンの強みをもっともっと強くし、強い事業を生み出せる人材を育てていきます。