テクノロジー

商品を支える技術材料プラットフォーム

  • 製品の進化と新規事業の創出を支える技術基盤
  • 設計から製造までの一貫した自社開発により、材料技術を獲得・強化
  • 体系的な技術基盤を活用し、付加価値の高い製品性能を効率的に実現

2025年8月25日

材料プラットフォームとは

材料プラットフォームとは、材料開発の各工程である「機能設計」、合成・加工」、「分析・評価」、「製造」においてキヤノンが獲得・強化してきた技術を、機能別に4つに分類し、全社で活用しやすく体系化した技術基盤です。
材料は、製品の性能を左右する重要な要素の一つです。キヤノンの強みは、製品の競争力を高める材料を、社内で一貫して開発できることです。たとえば、市販の材料では、求める性能を実現できない場合、分子レベルの機能設計から材料合成、計測・分析手法の確立、製造技術の開発までを自社で行い、必要な技術や知見・ノウハウを蓄積してきました。こうして蓄積、体系化された技術基盤は、製品のさらなる進化や新規事業の早期立ち上げに活用され、製品競争力の源泉となっています。


材料プラットフォームの活用イメージ

活用事例:
光を調整するカメラの交換レンズのコーティング技術

カメラの交換レンズにおいて、材料技術がプロフォトグラファーのニーズに応える高い競争力を生みだしています。
たとえば、真夏のグラウンドや晴れた海のように、光が強い環境で撮影すると、レンズ内で光が反射し、ゴースト(本来ないはずの画像が映る現象)やフレア(画像の一部が白っぽくなる現象)が起こり、画質を低下させます。これらは、空気とレンズの光の屈折率が大きく異なるために発生します。
キヤノンでは、光をコントロールし、反射を抑えるレンズのコーティング技術を開発しています。レンズ表面に「空気を一定の割合で含ませた膜」を形成するASC(Air Sphere Coating)やレンズ表面に「ナノサイズの剣山のような構造物」を並べるSWC(Subwavelength Structure Coating)といったコーティング技術により、高い反射防止性能を実現。これらの技術は、雨天時にレンズの視界をクリアにする膜やディスプレイの反射を抑制する塗料へと応用されています。

垂直に近い角度で入射する光に高い効果を発揮
斜めからの光に優れた効果を発揮
コーティング技術を施した交換レンズ表面の拡大図

活用事例:
豊かな色を生みだすプリンターのインク技術

カメラやプリンター、ディスプレイなど、色に関わる製品を多く手掛けるキヤノンでは、新しい色を生みだす技術と発色性を高める技術を進化させ、忠実な色の再現に取り組んでいます。
たとえばプリンターに使われるインクは、色の原料である色材と、用紙表面への定着や速乾性などの機能をインクにもたせる樹脂や溶剤などで構成されています。色材が均一に混ざっていればいるほど、高い発色を得ることができます。色材をナノメートルレベルでインク中に均一に分散させる材料機能設計や、色材と樹脂を均一に混ぜ合わせる材料混合技術が、再現できる色の範囲を拡大し、豊かな色表現を生みだしています。これらの技術は、プリンターの明度、彩度を拡大させる新色インクやカメラの電子ビューファインダーの発光素子の開発など、製品のさらなる進化と事業の競争力強化に活用されています。


忠実な色の再現に向けて色範囲を拡大

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技術紹介PDF「キヤノンフロンティア」

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