私たちの生活は豊かになる一方、気候変動や資源の枯渇、有害物質による汚染や生物多様性の低下など、地球にはさまざまな環境課題が存在しています。こうした課題に対し、世界では、温暖化の防止に向けて、CO2削減に対するポリシーメイキングが進み、資源の有効活用に向けては、サーキュラーエコノミーに対する議論が加速しています。企業は、こうした世界の動きを念頭に、各環境課題がもたらす事業活動への影響を認識した上で、国や自治体、専門家などのステークホルダーと連携しながら、課題の解決に貢献していくことが重要と考えます。
キヤノンでは、専門機関や政府機関からの情報をもとに世の中の動向を継続的に分析するとともに、気温上昇がもたらす社会の姿をさまざまに想定し、事業上のリスク・機会を課題領域ごとに特定しています。
気候変動の領域では、製品ライフサイクル全体を視野にCO2削減を一つひとつ積み上げることによって成しえる「緩和」と、物理リスクへの「適応」という両面からのアプローチが、リスクを縮小し、機会を拡大していく上で重要であると考えています。
リスク | 機会 | |
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気候変動 |
移行リスク:
物理リスク:
評判リスク:
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資源循環 |
移行リスク:
物理リスク:
評判リスク:
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有害物質 |
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生物多様性 |
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キヤノンは、「共生」の実現に向けて、豊かな生活と地球環境が両立する社会をめざし、2008年に環境ビジョン「Action for Green」を制定。「低炭素社会実現への貢献」「資源循環型社会実現への貢献」「有害物質廃除と汚染防止」「自然共生型社会実現への貢献」を重点領域に定め、事業活動と連動した取り組みを製品ライフサイクル全体で進めています。
製品ライフサイクル全体でのエネルギー効率改善とCO2排出削減、地域特性に応じた再生可能エネルギーの活用、さらには、お客さまや社会の環境負荷削減に向けた支援活動を進めています。
高度な資源循環をめざし、製品の小型・軽量化やリマニュファクチュアリング、消耗品のリサイクル、さらには、水の効率利用や、廃棄物の再資源化を進めています。
グリーン調達による化学物質の厳格な管理に加え、サプライチェーンにおける情報伝達の効率化に向けた枠組みづくりへの積極的な関与、さらには、生産工程で使用する化学物質の削減、排出抑制を進めています。
「鳥」をシンボルに「生命の循環」を考える「キヤノンバードブランチプロジェクト」など、「生物多様性方針」に基づき世界各地で展開する生態系保全活動、「木材製品調達における基本方針」のもとに実施する持続可能な木材製品の調達を進めています。
省エネ、省資源、リサイクルなど、あらゆる環境活動の成果を一つの指標で統合的に管理するため、ライフサイクルCO2を環境の総合目標として設定しています。
総合目標 | ライフサイクルCO2製品1台当たりの改善指数:年平均3%改善 |
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実績 | 年平均4.7%改善(2008年~2019年)(累計40.0%改善) |
キヤノンでは、気候変動への対応をはじめ、環境活動を進める上で経営との連動を重視しています。例えば、環境目標は経営計画の時間軸に整合する形で設定。会社の方向性を定める5年ごとのグローバル優良企業グループ構想、それを実行する上での技術、製品を中心とした3年計画(毎年、ローリングで見直し)に対応し、環境目標についても、毎年、目標変更の必要性についてレビューを行っています。また、環境活動と経営活動の両立を確認するため、そして、成果を適切に捉えられるよう、製品ライフサイクル全体におけるCO2排出量を「製品1台」で基準化した値に対する改善率を指標としています。当該指標は2008年から導入しています。
また、各組織による環境活動の実績は、各事業や生産会社、販売会社を対象とした「連結業績評価制度」の中で評価しています。キヤノンでは当該評価制度に、財務実績だけでなく、環境・CSR活動など、非財務面での実績も指標として組み入れ、経営成績の一部として管理しています。この評価は、2001年から実施しており、世の中の変化に合わせて指標を見直しながら、取り組みを進めています。
このように、キヤノンは、環境活動を経営と一体的に進めていく仕組みを根付かせることで、環境目標や各施策に対する実効性を向上し、成果へとつなげています。
気候関連財務情報タスクフォース(TCFD)が開示を要請する気候変動への取り組みに関する情報については、「サステナビリティレポート2020」の以下のページに関連情報を記載しています。
ガバナンス | P17、P42、P44~45 |
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リスク管理 | P16~17、P42~45、P102 |
戦略 | P16~17、P38~39、P43~44 |
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指標と目標 | P17、P19~20、P39~40 |
キヤノンは、環境ビジョン「Action for Green」のもと、4つの重点領域「低炭素社会実現への貢献」「資源循環型社会実現への貢献」「有害物質廃除と汚染防止」「自然共生型社会実現への貢献」における取り組みを通じて、下記のSDGsゴールの達成に貢献していきます。