サステナビリティ
キヤノンは、2008年に環境ビジョン「Action for Green」を制定。「豊かな生活と地球環境が両立する社会」の実現に向けて、製品ライフサイクル全体での取り組みを通じ、人々の生活をより一層豊かにする製品・サービスの提供と、環境負荷の低減を同時に推進しています。
キヤノンは、「環境負荷の低減」にあたって、①脱炭素社会への貢献、②資源循環型社会への貢献、③有害物質廃除と汚染防止、④自然共生型社会への貢献の4領域に重点を置いています。
世界が直面する環境課題やニーズに対して、キヤノンの事業活動との関連を整理。その上で、ステークホルダーアンケートにより把握される「ステークホルダーの相対的な関心度」と「キヤノンの事業活動への相対的な影響」の2つの視点から、優先順位を決定しています(下図マテリアリティマトリックス参照)。
2020年に実施したステークホルダーアンケートでは、「省エネルギー化の促進/再生可能エネルギーの活用」への関心が最も高くなりました。これは昨今のカーボンニュートラル実現に向けた各国・地域の政策強化および企業の取り組みに対する社会ニーズの高まりを受けたものと捉えています。
また、「使用済み製品のリユース・リサイクル」についても、資源循環/サーキュラーエコノミーに対する意識の高まりを受け、上位となりました。これらの課題は、事業拠点における活動と製品の競争力やコストに大きく影響する分野であることから、キヤノンの事業活動への相対的な影響も高くなり、マテリアリティマトリックスにおいて、優先順位の高い領域に位置づけられました。
このように、世の中の課題やニーズ、ステークホルダーの関心など、キヤノンを取り巻くさまざまな変化に目を向けながら、持続可能な社会の実現に向けて、製品ライフサイクル全体での取り組みを継続、進化させていくことが重要と考えています。
私たちの生活は豊かになる一方、気候変動や資源の枯渇、有害物質による汚染や生物多様性の低下など、さまざまな環境課題が存在しています。こうした課題に対し、世界ではカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現に向けた議論が加速しています。企業は各環境課題がもたらす事業活動への影響を認識した上で、国や自治体、専門家などのステークホルダーと連携しながら、課題の解決に貢献していくことが重要と捉えています。キヤノンでは、専門機関や政府機関からの情報をもとに変化する社会の姿をさまざまに想定し、事業上のリスク・機会を特定しています。
リスク 機会 |
リスク・機会の概要 | 財務 影響 |
対処 | |
---|---|---|---|---|
リスク | 移行リスク | 省エネルギー規制の強化と対応コストの増加(製品・拠点) | 大 |
|
経済的手法を用いた排出抑制(炭素税など)による事業コストの増加 | 中 |
|
||
物理リスク | 台風や洪水被害の甚大化など異常気象の深刻化による操業影響 | 中 |
|
|
評判リスク | 情報開示の不足による外部評価の低下 | 小 |
|
|
機会 | 製品・サービス | 省エネルギー製品をはじめライフサイクル全体でのCO2排出量が小さい製品に対する販売機会の拡大 | 大 |
|
ハードとソフトの両面から革新を支えるさまざまな製品・ソリューションの販売を通じた社会全体のCO2削減への貢献 | 大 |
|
||
資源の効率 | 生産や輸送の高効率化によるエネルギーコストの削減 | 中 |
|
|
エネルギー源 | 再生可能エネルギーの低コスト化による活用機会の拡大 | 中 |
|
|
その他 | 気候関連情報の開示促進による企業イメージの向上 | 小 |
|
リスク | 機会 | |
---|---|---|
資源 循環 |
移行リスク:
物理リスク:
評判リスク:
|
|
有害 物質 |
|
|
生物 多様性 |
|
|
キヤノンは、環境ビジョン「Action for Green」のもと、「脱炭素社会への貢献」「資源循環型社会への貢献」「有害物質廃除と汚染防止」「自然共生型社会への貢献」を4つの重点領域とし、環境負荷低減に向けて取り組みを展開しています。
製品ライフサイクル※を通じたCO2排出量を2050年にネットゼロとすることをめざします。
スコープ1、2のみならずスコープ3を含んだ「ライフサイクルCO2製品1台当たりの改善指数 年平均3%改善」の目標を継続的に達成し、2030年には2008年比で50%改善をめざします。
CO2排出量ネットゼロの達成に向けて、製品ライフサイクル全体で徹底した効率化を図ります。これにより、設計、生産、物流における、省エネルギー化をさらに推し進めていきます。キヤノンは2008年以来、「ライフサイクルCO2製品1台当たりの改善指数 年平均3%改善」の目標の確実な達成を継続してきました。今後も、この成果を着実に積み上げていきます。再生可能エネルギーの活用についても欧州、アジアを中心に導入を進めてきましたが、今後も地域ごとの普及状況や経済合理性を考慮し、戦略的な活用を図っていきます。さらには、資源循環の高度化を通じてCO2の削減を促進します。これらの自助努力に加えて、バリューチェーン全体でステークホルダーと連携した取り組みを進めていきます。また、長期的には社会全体で起こるイノベーションを取り込むなど、あらゆる手段を講じてCO2排出量ネットゼロをめざします。一方、私たちキヤノンも、さまざまなテクノロジーやITソリューションを社会に提供していくことで、自社のCO2にとどまらず、社会全体のCO2削減に貢献していきます。
「2050年にめざす姿」「2030年にめざす姿」を視野に、技術、製品を中心とした経営の3カ年計画にあわせて中期環境目標を設定しています。目標は、毎年レビューを行い、目標変更の可否を判断しています。
キヤノンは、省エネルギー、省資源、リサイクルなど、あらゆる環境活動の成果を一つの指標で統合的に捉えられるよう、さらに、事業活動との両立という観点から、その効率性に着目し、製品ライフサイクルの各ステージで発生するCO2を積み上げた「ライフサイクルCO2製品1台当たりの改善指数 年平均3%改善」をキヤノングループ中期環境目標の「総合目標」に設定しています。
この総合目標は、「製品目標」および「拠点目標」に細分化されています。製品目標として、「原材料・使用CO2製品1台当たりの改善指数 年平均3%改善」、拠点目標として、「エネルギー使用量」「廃棄物総排出量」「水資源使用量」「管理化学物質の排出量」に対する原単位改善の目標を定め、その達成に向けた取り組みを続けています。
ライフサイクルCO2製品1台当たりの改善指数 年平均3%改善の目標に対し、年平均4.3%(2008~2021年)、2008年からの累計では、42%の改善となりました。2021年は、拠点や製品における省エネルギー化など製品ライフサイクル全体での継続的な改善活動が進みましたが、新型コロナウイルスなどの影響による物流の混乱により改善率は鈍化しました。しかし、この混乱は一時的な影響であり、今後は改善軌道に戻ると見込んでいます。