さまざまな個性や価値観をもつ人材を受け入れ、互いに高め合いながら成長する 企業をめざしています
キヤノンは共生の理念のもと、文化・習慣・言語・民族などの多様性を尊重するとともに、性別や年齢、障がいの有無などにかかわらず、公平な人材の登用や活用を積極的に推進しています。
キヤノン(株)では、代表取締役副社長を統括責任者とするダイバーシティ推進のための全社横断組織「VIVID(Vital workforce and Value Innovation through Diversity)」で、全社的な活動を推進しています。
このほか、キヤノン(株)および国内グループ会社では、ダイバーシティ&インクルージョンの考え方の浸透をめざし、「心のバリアフリー研修」を実施しています。社会における「バリア」があることで生じている困りごとや痛みを社員一人ひとりが理解することを目的とし、障がいのある方や性的少数者の方が実際に不便に感じていることや、配慮すべきポイントなどを学ぶeラーニングを開講し、2019年から2021年までにキヤノン(株)および国内グループ会社の経営幹部を含むのべ5万9,228人の社員が受講しました。
キヤノンは、性別を問わず能力に即した平等な機会を提供するとともに、公平な処遇を徹底しています。
日本においては、女性活躍推進法で定められている行動計画の策定と情報開示に加え、キヤノン独自の取り組みを実施しています。
キヤノン(株)では、女性管理職候補者の育成を目的とした「女性リーダー研修」を実施し、新規事業提案をテーマとしたチーム活動を通して、リーダーに求められる資質を学ぶ機会を設けています。受講生は2012年の開始から累計で220人となり、海外拠点を含むさまざまな職場で活躍しています。これらの取り組みの効果もあり、女性管理職の人数は2011年の58人から2021年には138人に増えています。また、2020年に女性活躍推進法に基づく行動計画として、「2025年末までに女性管理職比率を2011年※の3倍以上とする」ことを目標と定めました。
さらに、育児休業から復職した社員とその上司を対象としたオンライン復職セミナーや、女性管理職によるメンタリングのほか、女性役員による講演会やインタビュー、女性管理職の体験談の紹介を通して、仕事における心掛けやライフイベントとの両立について気づきを得る機会を提供しています。
国内グループ会社においては、社長と女性社員の座談会やアンケートによる意識調査のほか、社内外の女性リーダー候補者との交流会、キャリアアップ研修、育児休業取得者を対象とした研修など、女性のキャリア形成支援に取り組んでいます。
海外においても、2020年より中東・アフリカの各グループ会社で国際女性デーにあわせて、女性の活躍を支援する社内キャンペーン「SHE RISE Program」を開始しています。また、キヤノンUSAでは「WiLL(Womenin Leadership Levels)」と名付けられたプロジェクトを推進し、交流会や講演会、メンタリングなどのさまざまな機会を通して女性の活躍を支援しています。さらに、キヤノンヨーロッパでは、統括地域を対象としてダイバーシティ&インクルージョン・コミットメントを策定し、モニタリングとレビューを行っています。このコミットメントには、ダイバーシティへの意識向上に向けた啓発活動の実施や、多様な人材の採用などが含まれています。
キヤノンでは、男女共同参画社会の実現に向け、男性の育児参画支援の取り組みを進めています。
キヤノン(株)や国内グループ会社では、育児関連制度を利用した男性社員の座談会やインタビューのほか、育児関連制度を紹介するセミナーなどを実施しています。これらの取り組みの効果もあり、キヤノン(株)の男性の育児休業取得率は、2011年の1.9%から2021年には33.4%まで増えています。また、キヤノン(株)では、2020年に女性活躍推進法に基づく行動計画として、「2025年末までに男性の育児休業取得率を50%以上とする」ことを目標に定めました。
キヤノンは、キヤノングループ行動規範に個人の尊重ならびに人種、宗教、国籍、性別、年齢などを理由とした差別の禁止を掲げ、LGBTなど性的マイノリティを包含した取り組みを行っています。職場におけるあらゆる差別の撤廃をめざし、管理職研修で差別防止に向けた教育を実施するほか、職場単位のミーティングなどの機会を活用し、従業員に対する理解の徹底を図っています。また、キヤノン(株)および国内グループ会社の社員を対象に、LGBTなど性的マイノリティに関する内容を含む「心のバリアフリー研修」を実施し、理解促進を図っています。
このほか、バリアフリートイレの設置など生活環境面での対応を行っています。さらに、従業員からの相談を受け付ける社内相談窓口を設け、専任のカウンセラーがさまざまな相談に対応する体制を整えています。
キヤノン(株)は、経験豊かな社員が豊富な知識や技能を最大限に発揮できるよう、1977年に日本企業でいち早く60歳定年制を採用し、1982年からは63歳を上限とした定年後再雇用制度を開始しました。
2000年には定年後再雇用制度を一部改正し、再雇用職務の公募制度を導入しました。2007年には再雇用年齢の上限を65歳まで引き上げ、2021年末の再雇用者数は1,817人となりました。
キヤノンは、国連のノーマライゼーションの理念※1を尊重し、キヤノン(株)および国内グループ会社において、障がいのある方の採用を積極的に進めています。
例えば、キヤノン(株)は、障がいのある方にとって働きやすい職場環境づくりに注力して、バリアフリー対応をはじめとした設備面の改善に努めるとともに、配属可能な職場・職務の開拓を進め、配属部署で職場にとけ込み、活躍している様子を確認しています。また、職場配属後に速やかに活躍できるよう、選考過程において職場体験や職場見学なども行っています。キヤノンウィンド※2では、主に知的障がいのある方を採用し、高い就業定着率を維持しながら企業理念「共生」の実現に向けて努力しています。
また、2016年に改正された「障害者雇用促進法」における障がい者の差別禁止と合理的配慮の提供の義務化に伴い、キヤノン(株)および国内グループ会社では各事業所に相談窓口を設置しました。事業所ごとに差別禁止を徹底するとともに、個別面談を実施し、避難訓練時の個別の声掛けや個別誘導など災害時の備えや、施設使用に関する配慮など合理的配慮の提供に努めています。2019年からはキヤノン(株)において、障がいがある方の活躍の場を広げる取り組みを開始するなど、定着支援の強化に取り組んでいます。
また、キヤノン(株)および国内グループ会社では、聴覚障がい者と協働する職場を対象に、より円滑に業務を進めることを目的として、聴覚障がいについての正しい知識や手話などを紹介する集合研修とeラーニングを2004年から実施し、2021年までにのべ839人が受講しました。
少子高齢化が進む日本では、介護を理由とする離職を防ぐことが重要な社会課題の一つとなっています。キヤノンは介護離職低減に向け、仕事と介護の両立を支援する活動を進めています。キヤノン(株)や国内グループ会社では、介護セミナーや介護従事者へのインタビューのほか、介護が必要になった際の初動対処方法や公的・社内の介護関連制度の紹介などを行っています。2020年からは、自治体と協力して介護セミナーを継続的にオンライン開催しています。