キヤノンはこのたび、撮影レンズにおける反射光の発生を大幅に抑制する特殊コーティング “SWC(Subwavelength Structure Coating)”を開発しました。このコーティングは、同時発表の大口径・広角レンズ“EF24mm F1.4L II USM”(2008年12月中旬発売予定)に採用されています。
レンズ面での光の反射は、空気とガラスの境界面で屈折率が大きく異なるために発生します。従来は、レンズ面に薄膜などをコーティングすることで、光の干渉作用を利用して反射光を抑制してきましたが、光の入射角などの条件によっては、十分な抑制が行えず、フレアやゴーストが発生する場合がありました。
今回キヤノンが開発した特殊コーティング“SWC”は、レンズの表面に可視光の波長よりも小さいナノサイズのくさび状の構造物を無数に並べることで、光の反射を抑制する新しいタイプの反射防止技術です。
ガラスと空気の間の屈折率を連続的に変化させることにより、屈折率が大きく異なる境界面をなくすことができるため、反射光の発生を大幅に抑制することが可能になりました。また、従来のコーティングでは抑制できなかった、特に入射角が大きな光に対しても優れた反射防止効果を実現しています。
主に広角レンズで採用されている曲率が大きいレンズなどに“SWC”を採用することで、これまで
防ぐことが難しかった周辺部での反射光によるフレアやゴーストの発生を大幅に抑えます。
キヤノンは、これからも曲率の大きなレンズを中心に“SWC”を活用することで、より高画質で高性能なレンズを提供していきます。
SWC の概念図