キヤノンはこのたび、世界で初めて* 、「角度ブレ」と「シフトブレ」の2種類の手ブレを光学的に補正する“ハイブリッドIS”(IS: Image Stabilizer/イメージ・スタビライザー)を開発しました。キヤノンは、この技術を搭載した一眼レフカメラ用交換レンズを2009年中に商品化する予定です。
手ブレによる撮影ミスは、シャッターが開き、撮像素子が光を捉えている間に、カメラが揺れてしまうことが原因です。手ブレを防ぐ方法や、補正する方式は、これまでもさまざまな手法が考案されてきました。
キヤノンでも、1980年代から手ブレを補正する方法の研究を開始し、1995年には、一眼レフカメラ用交換レンズとして世界で初めて、光学式手ブレ補正機構を搭載した「EF75-300mm F4-5.6 IS USM」を発売しています。その後も、さまざまなタイプの交換レンズに光学式手ブレ補正機構を搭載し、現在では合計21種類のラインアップを誇ります。
今回キヤノンが開発した技術は、カメラの「角度ブレ」と「シフトブレ」の2種類のブレを適切に補正する新しい方式です。
通常の撮影では、カメラの「角度ブレ」が画像に大きな影響を与えますが、マクロ撮影などの近接領域での撮影においては、撮影面に平行にカメラが動いてしまう「シフトブレ」が大きく影響します。“ハイブリッドIS”には、カメラの角度ブレ量を検出する角速度センサーに加えて、新たに加速度センサーを搭載しています。さらに、この2つのセンサーの情報を融合して最適な手ブレ補正を行う新アルゴリズムを採用しています。
これにより、通常の手ブレ補正に加えて、これまで難しかったマクロ撮影などの手ブレ補正も効果的に行うことができるようになりました。
キヤノンは、“ハイブリッドIS”を搭載した一眼レフカメラ用交換レンズの早期の製品化と幅広い製品への展開を目指し、今後も研究・開発を積極的に進めていきます。
角度ブレ
シフトブレ
「角度ブレ」と「シフトブレ」の概念図