キヤノンは、映像制作用のレンズやカメラで構成する"CINEMA EOS SYSTEM"を新たに立ち上げ、同システムに対応する製品を2012年1月下旬より順次発売し、ハリウッドをはじめとする映像制作市場に本格的に参入します。
CINEMA EOS SYSTEMを構成する製品群
キヤノンは創業以来、光学技術を中心とした多様な映像技術の革新を重ね、高性能なカメラやレンズを生み出し続けることによって、写真・映像文化の発展に貢献してきました。
このたび、その領域をハリウッド映画に代表される映像制作業界に広げ、"CINEMA EOS SYSTEM"を市場に投入することにより、さらなる映像表現領域の拡大と映像文化の発展に寄与していきます。
このシステムは、豊富な種類をそろえた現行のEFレンズに、映像制作に最適な性能を持つ"EFシネマレンズ"を新たに加えたEFレンズシリーズを核とし、レンズ交換式ビデオカメラ、デジタル一眼レフカメラの3つのカテゴリーで構成され、高画質な映像表現を実現します。
以下の新製品群を皮切りに、今後はラインアップをさらに拡充し幅広いニーズに応えていきます。
4K(4,096×2,160画素)に対応した高画質で、映像撮影に最適な操作性を備えたレンズです。スーパー35mm対応の14.5mm~300mmの幅広いズーム域をカバーするズームレンズ4機種と、35mmフルサイズ対応の単焦点レンズ3機種の合計7機種を、2012年1月下旬より順次発売します。
EFマウントを採用した"EOS C300"と、映像制作業界で普及しているPLマウントの"EOS C300 PL"の2機種のレンズ交換式ビデオカメラを、2012年1月下旬より順次発売します。スーパー35mm相当約829万画素の大型CMOSセンサーを搭載し、映画をはじめとした高画質な映像制作を実現します。
35mmフルサイズのCMOSセンサーを搭載し、4K動画記録(24P Motion-JPEG)※を実現することにより、高画質で豊かな映像表現を可能にする次世代デジタル一眼レフカメラを開発しています。なお、製品名称、詳細な仕様、発売時期などは未定です。
カテゴリー | 製品名 | 対応マウント |
---|---|---|
EFシネマレンズ | CN-E14.5-60mm T2.6 L S | EFマウント |
CN-E14.5-60mm T2.6 L SP | PLマウント | |
CN-E30-300mm T2.95-3.7 L S | EFマウント | |
CN-E30-300mm T2.95-3.7 L SP | PLマウント | |
CN-E24mm T1.5 L F | EFマウント | |
CN-E50mm T1.3 L F | EFマウント | |
CN-E85mm T1.3 L F | EFマウント | |
レンズ交換式ビデオカメラ | EOS C300 | EFマウント |
EOS C300 PL | PLマウント | |
デジタル一眼レフカメラ(開発中) | 未定 | EFマウント |
現在の映像制作市場は、放送用コンテンツ制作市場と映画制作市場の2つのセグメントに大別することができます。
放送用コンテンツ制作市場は、スポーツ・バラエティ・報道などのテレビを中心とした放送用コンテンツの制作に使用されるデジタルビデオカメラで占められており、主に3基のCCDもしくはCMOSセンサーが搭載された仕様になっています。
映画制作市場は、ハリウッドを頂点とした制作会社やインディーズ(自主制作)による映画制作を主用途としたモデルが中心で、フィルムを用いたアナログ方式とデジタル方式が混在しています。しかし、映画制作業界においてもデジタル化が進んできており、スーパー35mm相当の大判センサーを搭載した、レンズ交換が可能なデジタルビデオカメラが徐々に主流となりつつあります。特に現代の映画制作は、3DやCGなどの撮影素材の後加工が盛んであることや、4Kなどのより高画質な次世代ビデオフォーマットへの対応が急がれているため、より高画質なデジタルビデオカメラのニーズが高まるとともに、高画質で信頼性の高い交換レンズの需要も伸長しています。
一方で、キヤノンのデジタル一眼レフカメラに搭載している動画撮影機能とEFレンズの組み合わせが生み出す、高画質で豊かな表現力をもつ映像コンテンツ「EOSムービー」も、画期的なコンセプトの映像として前述の2つの市場で評価を高め、ハリウッド映画でも採用されています。
キヤノンは、これまでも放送用コンテンツ制作市場向けにビデオカメラやレンズを、映画制作市場にはレンズを供給してきましたが、このたびの"CINEMA EOS SYSTEM"の発売を機に映画制作市場へ本格的に参入し、映像制作用レンズ・カメラのより広い領域での事業展開を図ります。